時計の雑学11選!広告の針が10時8分42秒を指す理由

時計をぱっと見た瞬間、秒針が一瞬止まったように見えたことはありませんか。実はこれ、時計の故障ではなく、脳が起こす錯覚のひとつです。

毎日目にする時計には、針が右回りになった理由や織田信長が時計を断った話など、興味深いエピソードがたくさんあります。古代の日時計から原子時計まで、時代ごとの工夫も見えてきます。

そんな時計にまつわる雑学を11個ご紹介します。研究にもとづく項目には出典を添えています。

太陽と水で測った時間

まずは、機械の時計が生まれる前の話です。人々は太陽の影や流れる水を使って、時間を知っていました。

1. 古代エジプトの影時計

古代エジプトの影時計のイラスト

現存する最古級の時計のひとつは、古代エジプトの日時計です。紀元前1500年頃、トトメス3世の時代のL字形の「影時計」が見つかっています。

棒が落とす影の長さや向きを見て、人々はおおよその時刻を知ったと考えられています。

※トトメス3世:古代エジプトの王

出典:オックスフォード大学/マクマスター大学

2. 針が右へ回るのはなぜ

針が右へ回るのはなぜのイラスト

北半球で水平に置いた日時計では、太陽が東から南を通って西へ動くにつれ、影が右回りに進みます。時計の針が右回りなのは、この影の動きに由来するという説が有力です。

ただし、当時の記録で裏付けられているわけではありません。1443年に作られたフィレンツェ大聖堂の時計のように、針が左回りに進む時計も実在します。

出典:セイコーミュージアム

3. 夜や曇りでも使えた水時計

夜や曇りでも使えた水時計のイラスト

水時計は、容器から水が一定の速さで流れ出ることを使って時間を計る道具。日時計と違い、夜や曇りの日にも使えました。

古代アテネの法廷では、弁論の時間を水が流れ落ちるまでとしていたのです。日本でも671年、天智天皇が漏刻という水時計で初めて時を知らせたと『日本書紀』にあり、「時の記念日」の由来になりました。

※漏刻:ろうこく

出典:セント・アンドルーズ大学 MacTutor/ブリタニカ百科事典

時計を変えた人と発明

次は、時計の形や仕組みを変えてきた人と発明です。懐中時計から腕時計へ、さらにクオーツやデジタルへと移り変わっていきました。

4. スイス時計を育てた職人たち

スイス時計を育てた職人たちのイラスト

スイスの時計づくりは、16世紀半ばのジュネーヴで発展しました。信仰の自由を求めてフランスなどから逃れてきたユグノーの職人が、携帯時計の技術を持ち込んだことが大きいとされます。

のちにジュラ地方の山あいでは、農家が冬の農閑期に部品を作る副業が広がり、分業の家内工業として根づきました。

※ユグノー:フランスのプロテスタント(カルヴァン派)の呼び名
※農閑期:農作業が少ない時期

出典:スイス歴史事典

5. 信長が時計を断ったわけ

信長が時計を断ったわけのイラスト

記録上、日本に伝わった最古の機械時計は、1551年にザビエルが山口の大名・大内義隆に贈った時計とされます。現物は残っていません。

織田信長にも宣教師のフロイスが時計を贈ろうとしましたが、「欲しいが、自分では使いこなせない」と断ったと伝えられます。日本と西洋で時刻の数え方が違ったことが理由に挙げられます。

※大内義隆:おおうちよしたか

出典:山口県立山口博物館/国土交通省 観光多言語解説データベース

6. 懐中時計は紳士、腕時計は女性

懐中時計は紳士、腕時計は女性のイラスト

19世紀のヨーロッパで、懐中時計は富と地位を示す持ち物でした。金の鎖をベストのボタン穴に通してのぞかせるのが紳士の装いです。

一方の腕時計は、女性向けの装身具として生まれたもの。記録に残る最初の例は、1810年にブレゲがナポリ王妃のために作り始めた時計です。

やがて戦争で、将校や飛行士が手を使いながら時刻を確かめられる腕時計を使い始めます。そして第一次世界大戦後にかけて、男性にも広まりました。

※ベスト:チョッキのこと
※装身具:身につけて飾る物

出典:ブレゲ公式

7. 車より高かった初のクオーツ

車より高かった初のクオーツのイラスト

1969年、セイコーが世界初のクオーツ腕時計「クオーツ アストロン」を発売しました。クオーツとは水晶のことで、その振動を利用して機械式の約100倍の精度を出したとされます。

価格は45万円で、当時の大衆車よりも高価でした。その後クオーツ式は世界に広まり、時計の主流になっていきます。

出典:セイコー公式

8. 初のデジタル腕時計パルサー

初のデジタル腕時計パルサーのイラスト

世界初の電子式デジタル腕時計は、アメリカのハミルトン社が1972年に発売した「パルサー」です。動く部品がなく、ボタンを押したときだけ赤いLEDで時刻が光る仕組みでした。

ハミルトンは映画『2001年宇宙の旅』のために未来的な時計の小道具を作りました。これがデジタル時計の発想につながったとも言われます。

※LED:電気を流すと光る部品

出典:ギネス世界記録/スミソニアン博物館

時計の精度と見え方の話

最後は、時計の正確さと、私たちの目にどう映るかにまつわる話です。

9. 1秒の長さを決める原子時計

1秒の長さを決める原子時計のイラスト

1秒の長さは、セシウム133という原子をもとに決められています。この原子が出す電磁波が、約92億回振動する時間が1秒です。米国の研究所の装置では、約3億年に1秒しかずれません。

GPS衛星にも原子時計が積まれ、位置の測定や通信網を支えています。より精密な光時計の研究も進み、1秒の定義はいずれ変わるかもしれません。

※電磁波:光や電波の仲間

出典:情報通信研究機構(NICT)/アメリカ国立標準技術研究所(NIST)

10. 広告の時計は10時8分42秒

広告の時計は10時8分42秒のイラスト

時計の広告では、針が10時10分前後を指していることが多いもの。2本の針がV字に開くので文字盤が見やすく、ブランド名にも針がかかりにくいといわれます。

この形は笑顔にも見え、2017年の心理学の実験でも好意的に評価されました。セイコーの広告は10時8分42秒。3本の針が重ならず、ブランド名も隠れない時刻なのです。

出典:セイコーミュージアム/Frontiers in Psychology(2017年)

11. 秒針が止まって見える錯覚

秒針が止まって見える錯覚のイラスト

時計をぱっと見たとき、秒針が一瞬止まったように見えることがあります。目を素早く動かした直後、脳が見え始めの時間を少しさかのぼって補うために起こる「クロノスタシス」という錯覚です。

2001年の研究では、見ていた時間を長く感じる結果が出ています。約0.8秒しか見ていない数字を、1秒見たと感じたのです。

※クロノスタシス:ギリシャ語の「時間(クロノス)」と「静止(スタシス)」から

出典:Nature(2001年)

まとめ

時計の歴史は、古代エジプトの影時計や水時計から始まりました。針が右回りなのも、日時計の影の動きに由来するという説が有力です。

日本では信長が時計を断ったと伝えられる一方、のちにセイコーが世界初のクオーツ腕時計を送り出しました。今では原子時計が1秒の長さを決め、GPSなど暮らしの仕組みを支えています。

秒針が止まって見える錯覚も、時計が壊れたわけではなく脳の働きによるもの。次に時計を見るときは、針の動きに少し注目してみてはいかがでしょうか。

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更新日:2026年10月18日(日) 02:22

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