ハネムーンの雑学12選!「甘いのは最初だけ」という皮肉だった

「ハネムーン」はもともと、甘い時期はすぐに終わるという皮肉をこめた言葉でした。今ではロマンチックに響くこの言葉にも、意外な歴史があるのです。

新婚旅行のかたちも、時代とともに大きく変わってきました。英国の親戚めぐりから昭和の宮崎ブーム、そして「成田離婚」という言葉まで、話題はさまざまです。そんなハネムーンにまつわる雑学を12個ご紹介します。研究にもとづく項目には出典を添えています。

ハネムーンの語源と呼び名

まずは、言葉そのものの成り立ちから見ていきましょう。よく聞く語源の話にも、じつは根拠のないものがあります。

1. もとは皮肉をこめた言葉

もとは皮肉をこめた言葉のイラスト

ハネムーンは、甘い時期は続かないという皮肉をふくむ言葉でした。英語の初出は1546年、劇作家ヘイウッドの著作にある「hony moone」です。

1656年のブラントの辞書では「今は蜜のように甘いが、月のように欠けていく」と説明されました。皮肉ぬきで辞書に載ったのは、18世紀半ばのこと。日本語では「蜜月」と訳されます。

※蜜月は「みつげつ」と読みます。

2. 「蜂蜜酒が語源」説は根拠なし

「蜂蜜酒が語源」説は根拠なしのイラスト

「古代バビロニアの新婚夫婦が1か月、蜂蜜酒を飲んだから」という説がありますが、確かな根拠はありません。主要な英語辞典も、蜂蜜酒との関係は認めていません。

19世紀にはゲルマン人の風習とする説も出ましたが、16世紀の英語の由来とは考えにくいとされます。花嫁を略奪して隠れたという話にも、裏付けはありません。

※蜂蜜酒は「ミード」とも呼ばれます。

3. 「蜜の月」と「いちゃつく週間」

「蜜の月」と「いちゃつく週間」のイラスト

フランス語ではハネムーンを「lune de miel」、つまり「蜜の月」と呼びます。英語をそのまま訳した言葉とされ、フランス語での初出は哲学者ヴォルテールの小説『ザディッグ』です。作中には「結婚の最初の月は蜜の月、2か月目はニガヨモギの月」というくだりがあります。

ドイツ語では「Flitterwochen」。16世紀からある言葉で、「いちゃつく」という意味の動詞から来ています。直訳すると「いちゃつく週間」です。

※ニガヨモギは、苦味の強い草のことです。
※Flitterwochenは「フリッターヴォッヘン」と読みます。

欧米の新婚旅行あれこれ

次は、ハネムーンが「旅行」の意味を持ってからの欧米の話です。研究者が調べた、ちょっと気になるデータも登場します。

4. 旅行の意味は18世紀末から

旅行の意味は18世紀末からのイラスト

ハネムーンが旅行の意味で英語に現れたのは1791年。もとは結婚直後の時期を指す言葉でした。

19世紀初めの英国上流階級では、式に来られない親戚を訪ね歩く「ブライダル・ツアー」がありました。友人や家族が同行することもあったのです。やがて欧州大陸にも広がり、フランスでは「イギリス式の旅行」と呼ばれました。

5. ハート型バスタブの発祥地

ハート型バスタブの発祥地のイラスト

ハート型バスタブは、1963年に米ペンシルベニア州のカップル向けリゾートで生まれました。考案者は、ポコノ山地の「コーブ・ヘイブン」の経営者です。

最初の6台は、コンクリートに赤いタイルを貼った手作り。特許を取らなかったため、ほかのリゾートにも広まります。ポコノは「世界のハネムーンの都」とも呼ばれました。

6. 新婚旅行と離婚リスクの関係

新婚旅行と離婚リスクの関係のイラスト

新婚旅行に行った夫婦は、離婚リスクが低い傾向が見られたという研究があります。米エモリー大学の経済学者らが2015年に発表したもので、米国の既婚・離婚経験者3000人あまりが対象です。

ただ、旅行にかけた金額とは関係が見られませんでした。一方で、挙式費用が高額だった人は、リスクが高めという結果も出ました。

これは関連を示したもので、原因とは限りません。新婚旅行に行けば離婚しない、というわけではないのです。

出典:Economic Inquiry(2015年)

日本の新婚旅行のあゆみ

ここからは、日本に新婚旅行が根づいていく流れをたどります。明治から平成まで、時代ごとに意外な姿が見えてきます。

7. 「新婚旅行」という訳語の誕生

「新婚旅行」という訳語の誕生のイラスト

「新婚旅行」という訳語は、1889年(明治22年)の東京日日新聞に早い例があります。哲学者・井上円了のハネムーン紹介を伝えた記事です。

その前の1883年(明治16年)には、高知の新聞で小説『汗血千里駒』が連載されました。作中では、坂本龍馬とお龍の旅を「ホネー、ムーン」と書いています。これが「龍馬が日本初」というイメージの源の1つです。

※汗血千里駒は「かんけつせんりのこま」と読みます。

8. 小松帯刀が日本初という説

小松帯刀が日本初という説のイラスト

日本初の新婚旅行は、坂本龍馬より約10年早い小松帯刀だったという説があります。小松は薩摩藩の家老で、薩長同盟などで龍馬を支えた人物です。

小松は1856年(安政3年)に妻の近と結婚し、同じ年の春に霧島の栄之尾温泉に約2週間滞在しました。ただ、湯治に来た妻の父も一緒で、新婚旅行と呼べるかは意見が分かれます。

一方、龍馬とお龍の霧島の旅は1866年(慶応2年)で、傷の療養が目的でした。龍馬はこの旅の途中、栄之尾温泉に小松を訪ねています。

※小松帯刀は「こまつたてわき」、近は「ちか」、栄之尾は「えいのお」と読みます。

9. 新婚列車から神社参りへ

新婚列車から神社参りへのイラスト

1936年(昭和11年)の大安の夜、東京駅から熱海へ向かう列車に新婚夫婦95組が乗りこみました。新聞が「新婚列車」と報じたこの列車は、ふつうの列車に車両を増やしたものです。

戦争が激しくなると、倹約が求められるようになります。1943年(昭和18年)には、新婚旅行の代わりに神社へお参りする夫婦を、新聞が「好模範」として紹介しました。

※大安は、結婚式などによいとされる日です。
※「好模範」は、よいお手本という意味です。

10. 3組に1組が宮崎へ行った年

3組に1組が宮崎へ行った年のイラスト

宮崎の新婚旅行ブームのピークは1974年(昭和49年)。この年、宮崎市に泊まった新婚客は37万184組にのぼりました。その年に結婚したカップルの、およそ3組に1組にあたります。

きっかけは、昭和天皇の娘・島津貴子さん夫妻や、皇太子ご夫妻の宮崎訪問でした。宮崎を舞台にしたNHKの朝ドラ『たまゆら』も、人気を後押ししています。

※皇太子ご夫妻は、現在の上皇ご夫妻です。

出典:関西大学経済・政治研究所(2012年)

11. 「成田離婚」という流行語

「成田離婚」という流行語のイラスト

新婚旅行中に相手に幻滅し、帰国した成田空港で離婚を切り出す。そんな意味の「成田離婚」という言葉が、1990年代に広まりました。当時の海外への新婚旅行は成田発が一般的だったのです。

1997年(平成9年)には、同じ題名のドラマがフジテレビで放送されました。ただ、実際に離婚した夫婦の数を示す統計があるわけではありません。

今どきの新婚旅行事情

最後に、最近の調査から見える新婚旅行の姿です。旅行に行く人の割合や費用を見てみましょう。

12. 新婚旅行に行く人はほぼ半数

新婚旅行に行く人はほぼ半数のイラスト

今の新婚旅行の実施率は52.2%で、ほぼ半数です。リクルートブライダル総研の「結婚マーケット調査2025」による数字です。年代別では、20代後半が57.6%と最も高くなっています。

費用は、挙式・披露宴をした人が対象の別の調査で、平均61.6万円。同社の「ゼクシィ結婚トレンド調査2024」の結果で、お土産代はふくみません。

出典:リクルートブライダル総研(2025年/2024年)

まとめ

ハネムーンは、もとは甘い時期の短さを皮肉った言葉でした。よく聞く蜂蜜酒の語源説には、確かな根拠がありません。旅行の意味を持つのは18世紀の終わりごろで、日本には明治時代に伝わり「新婚旅行」という訳語が生まれました。

昭和には宮崎が一大ブームとなり、1974年には新婚カップルの約3組に1組が宮崎市に泊まっています。今では新婚旅行に行く人はほぼ半数です。旅のかたちは、これからも時代とともに変わっていきそうです。

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更新日:2026年11月4日(水) 08:14

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