ラクダの雑学12選!10分で約100Lの水を一気飲み

ラクダのこぶには水が入っている、と思っていませんか。実はこぶの中身は主に脂肪で、水をためておく場所ではないのです。

では水はどうしているのか。ラクダには、10分ほどで約100Lを飲んだり体温を上げ下げして汗を節約したりと、驚くしくみがそろっています。海を泳いで島へ渡るラクダや、江戸で夫婦円満の霊獣とされた話もあります。

そんなラクダにまつわる雑学を12個ご紹介します。研究にもとづく項目には出典を添えています。

砂漠で生きる体のしくみ

ラクダが乾いた土地で暮らせるのは、水を上手に使う体のしくみがあるからです。まずは、こぶや血液、鼻に隠された工夫を見ていきましょう。

1. こぶの中身は水ではなく脂肪

こぶの中身は水ではなく脂肪のイラスト

ラクダのこぶの中身は水ではなく、主に脂肪です。重さは数十kgにもなり、エサがとれないときのエネルギー源になります。脂肪を背中に集めることで、ほかの部分から熱を逃がしやすいという説もあります。

脂肪を使ったこぶは小さくしぼみ、傾くこともあります。それでも、食べて休めば元どおりです。

※こぶの重さは、資料によって数字に幅があります。

出典:米国議会図書館/日本大百科全書/サンディエゴ動物園

2. 10分で約100Lの水を飲む

10分で約100Lの水を飲むのイラスト

のどが渇いたラクダは、10分ほどで約100Lもの水を飲めます。10Lのバケツなら10杯分ほどを、一気に飲みほしてしまうのです。

ほかの動物がこれほど急に飲むと、血液が薄まりすぎて体に負担がかかります。ラクダがそれに耐えられるのは、血液に特別なしくみがあるからです。

※飲む量は、出典によって90〜110Lほどの幅があります。

出典:Animal Diversity Web(ミシガン大学)/世界大百科事典

3. 赤血球はふくらんでも壊れにくい

赤血球はふくらんでも壊れにくいのイラスト

哺乳類の赤血球はふつう円盤形ですが、ラクダは楕円形です。水で血液が急に薄まると、ほかの動物なら赤血球がふくらんで破裂しかねません。

ラクダの赤血球は膜がじょうぶで、2024年の実験では約2倍にふくらんでも壊れませんでした。楕円形には、脱水で血液がドロドロになっても細い血管を流れやすい利点があるとされます。

出典:PLoS ONE(2024年)/サンディエゴ動物園

4. 水分の3割を失っても生きのびる

水分の3割を失っても生きのびるのイラスト

ラクダは、体重の約3割にあたる水分を失っても生きのびられます。多くの哺乳類では、1割ちょっとの脱水でも命にかかわるほどです。

15日間水を飲まなかったラクダの記録もあります。そのあいだに、体重は28〜32%減っていました。一気に水を飲める力と合わせて、乾いた土地での暮らしを支えています。

※ほかの哺乳類が耐えられる脱水の目安は、10〜15%ほどと幅があります。

出典:Animal Diversity Web(ミシガン大学)/CIHEAM(国際地中海農学高等研究センター)

5. 体温を上げ下げして汗を節約

体温を上げ下げして汗を節約のイラスト

水が足りないとき、ラクダは日中に体温を40℃前後まで上げ、汗をかかずにがまんします。そして夜のうちに34℃台まで下げ、たまった熱を外へ逃がします。

こうして、汗で失うはずだった水を数リットル節約できるのです。脱水時には、1日のうちに約6〜7℃も上下します。水が十分にあるときは、約2℃しか変わりません。

出典:日本大百科全書/Animal Diversity Web(ミシガン大学)

6. 鼻で吐く息の水分を取り戻す

鼻で吐く息の水分を取り戻すのイラスト

ラクダの鼻の中で空気が触れる面の広さは、1000cm²を超えます。ヒトの約12cm²とくらべると、けた違いの広さです。

吐く息はこの鼻の中で冷やされ、湿り気が取りのぞかれます。1981年の研究では、呼吸で逃げる水分を最大6割ほど減らせると分かりました。

※湿り気まで取りのぞけるのは、主に夜のことです。

出典:Proceedings of the Royal Society B(1981年)

口や行動に見る意外な素顔

ラクダの意外な一面は、水の使い方だけではありません。ここでは、口のつくりや思わず驚く行動を紹介します。

7. トゲのあるサボテンも食べる口

トゲのあるサボテンも食べる口のイラスト

ラクダの口の中は、円すい形の突起「乳頭」でおおわれています。突起は爪と同じケラチンを含み、トゲを縦向きにそろえてのどへ送ります。そのため、口の中に刺さりにくいのです。

上唇は2つに割れていて、左右を別々に動かせます。この唇で植物をたぐり寄せ、トゲの多いサボテンも食べてしまいます。

※「乳頭」は「にゅうとう」と読みます。
※「ケラチン」は、爪や髪の毛をつくるたんぱく質のことです。

出典:ナショナル ジオグラフィック(2018年)

8. 口から出るピンクの袋の正体

口から出るピンクの袋の正体のイラスト

オスのヒトコブラクダが口から出すピンク色の袋は、胃ではありません。「ドゥラ」と呼ばれ、軟口蓋という上あごの奥のやわらかい部分が伸びたものです。

発情期にはこれをふくらませ、ゴボゴボと音を立ててメスにアピールします。いらだったときにも出すため、ライバルへの威嚇の意味もあるとみられます。

※「軟口蓋」は「なんこうがい」と読みます。

出典:IVIS(国際獣医情報サービス)

9. 海を泳いで島へ渡るラクダ

海を泳いで島へ渡るラクダのイラスト

インド西部グジャラート州のカッチ地方には、海を泳ぐラクダがいます。「カライラクダ」と呼ばれ、エサのマングローブを求めて最大約3kmも泳ぎ、沖の島へ渡るのです。

2015年には、インドの国の機関が独立した品種と認めました。頭数は数千頭ほどです。

※「マングローブ」は、海水が入りまじる浅瀬などに育つ木々のことです。

出典:PARI(インド農村報道サイト)/Hakai Magazine

祖先の歴史と人との関わり

最後は、ラクダの祖先と人との関わりの話です。北米の化石から江戸の見世物、中東のレースまで、時代と場所をこえてたどります。

10. 祖先は北米生まれで北極圏にも

祖先は北米生まれで北極圏にものイラスト

ラクダ科の祖先は、4000万年以上前に北米で生まれました。のちにベーリング陸橋を渡り、ユーラシアへ広がります。

カナダ北極圏のエルズミーア島では約350万年前の骨が見つかり、2013年にコラーゲンの分析でラクダの仲間と確かめられました。こぶは寒さに耐えるための適応だった、と推測する研究者もいます。

※「ベーリング陸橋」は、かつてアジアと北米をつないでいた陸地のことです。

出典:Nature Communications(2013年)/米国立公園局

11. 江戸では夫婦円満の霊獣だった

江戸では夫婦円満の霊獣だったのイラスト

1821年(文政4年)、オランダ船がオスとメスのラクダを長崎へ運んできました。幕府は受け取らず、2頭は見世物として各地を回ります。

江戸では1824年(文政7年)に両国で大評判に。寄り添う姿から、夫婦円満の霊獣としても人気を集めたそうです。「らくだ」が夫婦や二人連れを指すのも、この2頭からという説があります。

12. ラクダレースの騎手はロボット

ラクダレースの騎手はロボットのイラスト

中東のラクダレースでは、かつて体の軽い子どもが騎手にされていました。人身売買や虐待が国際的な問題となり、2000年代半ばに子ども騎手は禁止されます。

代わりに2005年ごろから使われ始めたのが、ロボットの騎手。最初の試作機は15〜18kgほどの重さでした。今は2〜3kgほどの小型のものが主流です。

出典:アルジャジーラ(2005年)/The National

まとめ

ラクダのこぶの中身は水ではなく脂肪で、エサがとれないときのエネルギー源になります。一気に水を飲んでも壊れにくい赤血球や、鼻で水分を取り戻すしくみなど、水を大切に使う工夫も体じゅうにそろっていました。

口から出すピンクの袋や海を泳ぐラクダ、北米生まれの祖先の話も意外なものです。江戸の人々には夫婦円満の霊獣として親しまれ、今は中東のレースでロボットの騎手を乗せて走るなど、人との関わりもさまざまです。

動物園でラクダを見かけたら、こぶや口元をじっくり観察してみてはいかがでしょうか。

あわせて読みたい

更新日:2026年10月31日(土) 11:21

コメントを入力

TOP