ダチョウの膝には、お皿が上下に2つあるのをご存じでしょうか。知られている限り、こんな膝をもつ動物はほかにいないとされています。
短い距離なら時速約70kmで走れるのに、空は飛べない大きな鳥。体のつくりだけでなく、ちょっと変わった習性や人とのかかわりにも、意外な話がたくさんあるのです。
そんなダチョウにまつわる雑学を12個ご紹介します。研究にもとづく項目には出典を添えています。
体のつくりと驚きの能力
まずは、ダチョウの体のつくりと能力についての雑学です。足や骨には、ほかの鳥とは違う特徴がいくつもあります。
1. 足の指は片足に2本だけ

ダチョウの足の指は、片足に2本しかありません。ほかの鳥は3本以上あるのがふつうで、指が2本の鳥はダチョウだけとされています。
この2本指の足は、走るのに適したつくりです。指の数が減ったのも、走ることに合わせた変化の一つと考えられています。
出典:サンディエゴ動物園/オークランド動物園
2. 短距離なら時速約70km

ダチョウは短い距離なら、時速約70kmで走ることができます。ただし、この速さは短い全力疾走でのもの。
時速50km前後のペースなら、長く走り続けられるとされています。短距離のスピードだけでなく、持久力もあわせもっている鳥なのです。
出典:サンディエゴ動物園/スミソニアン国立動物園
3. 飛べない理由は胸の骨に

空を飛ぶ鳥の胸の骨、胸骨には、竜骨突起という出っ張りがあります。羽ばたくための筋肉は、ここについているのです。
ダチョウなど走る鳥の胸骨は平らで、この突起がありません。体に比べて小さな翼や、約90〜130kgもある体の重さも、飛べない理由に関わっています。
※竜骨突起は「りゅうこつとっき」と読みます。
出典:熊本大学(2026年)/サンディエゴ動物園
4. 膝のお皿が上下に2つある

ダチョウの膝蓋骨、つまり膝のお皿は上下に2つあります。こうした膝をもつ動物は、知られている限りダチョウだけとされています。
2017年には英国王立獣医大学の研究チームが、CTなどで脚の動きを3Dモデルにして仕組みを調べました。それでも、なぜ2つあるのかはまだ分かっていないのです。
※膝蓋骨は「しつがいこつ」と読みます。
出典:英国実験生物学会(2017年)
行動・習性とよくある誤解
続いては、ダチョウの行動や習性にまつわる話を集めました。よく知られた言い伝えが、実際とは違っている例も出てきます。
5. 砂に頭を埋めるのは俗説

天敵から逃げきれないとき、ダチョウは首を伸ばして地面に伏せ、景色にまぎれることがあります。それが遠目には、頭を埋めたように見えるのです。巣の卵を転がそうと頭を下げる姿が、見間違えられたという説明もあります。
俗説の始まりは、古代ローマの大プリニウスの記述だという説も。ただ、そこにあったのは砂ではなく、茂みに頭を突っ込めば隠れたと思い込む話でした。
出典:サンディエゴ動物園
6. おしっことフンを別々に出す

鳥はふつう、おしっことフンを一緒に出します。鳥のおしっこは尿酸というもので、フンについている白い部分がそれです。
ところがダチョウは、これを別々に出す、知られている限り唯一の鳥とされます。フンより先に尿を出し、おしりの出口にある部屋である総排泄腔に、尿をためていると推測されています。
※総排泄腔は「そうはいせつこう」と読みます。
出典:ロンドン自然史博物館/ブリタニカ百科事典
7. 1つの巣に何羽ものメスが産卵

ダチョウは1つの巣に何羽ものメスが卵を産み、巣の卵が数十個になることもあります。ただし、温められるのは20個ほどまで。
そこで巣を守る主のメスは、自分の卵を残し、あふれた卵を外へ押し出します。1979年の研究では、自分の卵を見分けているとみられました。押し出された卵は、かえることがありません。
※巣の卵の数は、資料により幅があります。
出典:ネイチャー(1979年)/コトバンク
8. 目は脳より大きい?3歩の真相

ダチョウの目は直径約5cmと陸上動物で最大とされ、クルミほどの脳より大きいのです。
日本で言われる「3歩で忘れる」には、裏付けの研究が見つかっていません。ニワトリの「3歩歩くと忘れる」という昔からの言い方が、ダチョウに重ねられたとみられます。
2025年の実験では、エミューやレアが解いたエサ取りパズルを、ダチョウは解けませんでした。ただ研究者は警戒心の強さや装置との相性も挙げ、頭が悪いとは結論していません。
※エミューやレアは、ダチョウに近い走る鳥です。
出典:ギネス世界記録/ブリストル大学(2025年)
人とダチョウの深い関わり
最後は、人とダチョウの関わりについてです。研究や工場、遠い昔の暮らしの中でも、ダチョウは役立てられてきました。
9. ダチョウの卵から生まれたマスク

京都府立大学の塚本康浩氏らは、ダチョウの卵黄から抗体を大量につくる技術を開発しました。卵1個からとれる抗体は約4g。1羽からは、半年でウサギ約800匹分がとれるとされます。
抗体は鳥インフルエンザ対策のマスクに使われ、2021年にはマスクについた新型コロナウイルスを光らせて見る研究も発表されました。
※抗体とは、体に入ったウイルスなどにくっついて働きを弱めるたんぱく質のことです。
出典:科学技術振興機構(2008年)/科学技術振興機構(2022年)
10. 卵1個は鶏卵20〜30個分

ダチョウの卵の重さは約1.5kg。ニワトリの卵なら20〜30個分にあたります。
細胞と聞くと目に見えない小さなものを思い浮かべますが、受精していない卵の黄身は、まるごと1つの細胞です。動物の細胞としては最大級とされています。
※卵の重さは、資料により1.4〜2kgと幅があります。
出典:科学技術振興機構(2008年)/サンディエゴ動物園
11. 車の塗装前のホコリ取りに羽根

イギリスのジャガー・ランドローバーや、スペインにあるフォードの工場で使われているのが、ダチョウの羽根です。羽根を束ねた装置で、塗装の前に車体のホコリを払っています。
細かく枝分かれした羽根は、小さなチリをからめとるとされます。塗装の仕上がりをなめらかにするための工夫です。
出典:フォード(2015年)/Automotive Manufacturing Solutions(2024年)
12. 約6万年前の卵の殻の水筒

南アフリカの遺跡からは、模様を刻んだ約6万年前のダチョウの卵の殻が270点見つかっています。水を入れる容器として使われていたと考えられるものです。
また、卵の殻で作ったビーズは約5万年前から、3000km以上離れたアフリカ東部と南部の間でやりとりされていた可能性があります。
出典:ナショナル ジオグラフィック(2010年)/マックス・プランク人類史科学研究所(2021年)
まとめ
ダチョウは膝のお皿が2つあったり、おしっことフンを別々に出したりと、珍しい特徴をもつ鳥です。「砂に頭を埋める」は俗説で、「3歩で忘れる」にも裏付けとなる研究は見つかっていません。
人との関わりも深く、卵から抗体をつくる研究や車の塗装工場での羽根の活用など、今の暮らしにも役立てられています。約6万年前には、卵の殻が水を入れる容器として使われていたようです。
動物園で見かけたときは、足の指や膝にも目を向けてみると楽しいかもしれません。
あわせて読みたい
更新日:2026年10月21日(水) 12:27

モグラの雑学12選!「日光で死ぬ」はただの迷信だった
シャチの雑学11選!脳が人の5倍
鈴虫の雑学12選!声が高すぎて電話では聞こえない
トラの雑学10選!尿の匂いがポップコーンに似て香ばしいとか
ナマケモノの雑学10選!満腹のまま消化できず餓死してしまう
イノシシの雑学12選!鼻先だけで70kgを持ち上げる怪力
オオサンショウウオの雑学12選!天然記念物が昔はごちそう