モグラの雑学12選!「日光で死ぬ」はただの迷信だった

モグラは日光に当たると死んでしまう、と聞いたことはありませんか。実はこれは昔からの言い伝えで、モグラはひなたぼっこをすることもあるのです。

土の中で暮らすモグラには、生きたミミズをたくわえる食料庫や、冬に縮む頭の骨など、意外な姿がたくさんあります。日本では、箱根山のあたりで東西の種類が分かれているのも面白いところ。

そんなモグラにまつわる雑学を12個ご紹介します。研究にもとづく項目には出典を添えています。

よく聞くうわさの本当のところ

モグラには、日光や空腹にまつわる言い伝えがいくつもあります。まずは、よく耳にする話が本当なのかを確かめていきましょう。

1. 日光に当たっても死なない

日光に当たっても死なないのイラスト

「日光に当たると死ぬ」という話がありますが、モグラは日光を浴びても死にません。ひなたぼっこをすることもあり、明るさで動き方は変わらないそうです。

この話は昔からの言い伝えで、専門家も迷信としています。夜に地上でネコなどに襲われ、朝に死骸で見つかったからかもしれません。

出典:学研キッズネット/北海道大学CoSTEP(2017年)

2. 目は皮膚の下でも明るさは分かる

目は皮膚の下でも明るさは分かるのイラスト

日本のモグラの目は皮膚の下に埋もれ、直径1mmほどの黒い点にすぎません。それでも、光をまったく感じないわけではないようです。

2009年、英国のアバディーン大学などが、目が一生皮膚に覆われたイベリアモグラを調べました。網膜には光を感じる細胞があり、迷路では4匹とも点滅する光を避けて暗い側を選んだのです。

※イベリアモグラの研究で、日本のモグラを調べたものではありません。

出典:Proceedings of the Royal Society B(2009年)

3. 「半日で餓死」に根拠はある?

「半日で餓死」に根拠はあるのイラスト

「半日食べないと餓死する」とよく言われますが、論文や公的機関の資料には、はっきりした根拠が見当たりません。

ただ、よく食べるのは確かなようで、ヨーロッパモグラは毎日体重の3分の1から半分ほどを食べるといわれます。鹿児島の報告では、体重約80gのコウベモグラが、ミールワームを毎日10〜14gほど食べていました。

※食べる量の割合は、研究によって数字が分かれています。
※「ミールワーム」は、ペットのエサにされる甲虫の幼虫のことです。

出典:Nature of Kagoshima(2023年)

4. 野菜は食べずに根を切る

野菜は食べずに根を切るのイラスト

モグラのエサはミミズや昆虫などの動物がほとんどで、野菜は食べません。1年以上飼われたモグラが、ジャガイモなどに口をつけなかった記録もあります。

畑の被害は、トンネルを掘るときに根を切ったり苗を倒したりして起きるもので、空いたトンネルを通るネズミが、作物を食べることもあるようです。

出典:日本国語大辞典/国土交通省中部地方整備局

地下暮らしを支える驚きの体

一生の多くを土の中で過ごすモグラは、体のつくりや食べ方にも独自の工夫をもっています。ここでは、海外の仲間も含めた研究を紹介します。

5. 前足にある「6本目の指」

前足にある「6本目の指」のイラスト

モグラの前足には、親指の横に鎌のような形の骨があります。正体は、手首の「橈側種子骨」が長く伸びた1本の骨です。

2011年、チューリッヒ大学などがイベリアモグラの胚を調べ、関節がなく本物の指より後からできると分かりました。手のひらを広げ、穴掘りに役立つと考えられています。パンダの「偽の親指」も同じ骨です。

※「橈側種子骨」は「とうそくしゅしこつ」と読みます。
※「胚(はい)」は、生まれる前の育ち始めの体のことです。

出典:Biology Letters(2011年)

6. 生きたミミズの食料庫

生きたミミズの食料庫のイラスト

ヨーロッパモグラは、ミミズの頭をかんで傷つけ、生きたまま逃げられない状態にして専用の部屋にたくわえます。

ドイツでは1888年、ある貯蔵庫から578匹のミミズが見つかりました。翌年にも550匹が見つかり、どちらも厳しい冬のあとで、すべて頭の先の体節が傷ついていたのです。

秋にたくわえたミミズには、冬から春に頭が再生したものもいたと報告されています。1000匹を超える貯蔵庫が見つかったという話もあるほどです。

※「体節(たいせつ)」は、ミミズの体をつくる輪のような区切りのことです。

出典:Zoologischer Anzeiger(1891年)/BBC Books(2002年)

7. 冬になると頭の骨が縮む

冬になると頭の骨が縮むのイラスト

モグラは冬眠せず、冬も動き続けます。2022年には、チェコの博物館にあるヨーロッパモグラ202体の頭骨が調べられました。

脳を収める部分の高さは、生まれた年の11月までに約11%低くなり、翌年7月には約4%戻っていたのです。トガリネズミなどで知られる「デーネル現象」の一つで、冬を越す省エネのしくみとみられます。

※「デーネル現象」は、冬に向けて頭の骨などが小さくなる現象のことです。
※ヨーロッパモグラの研究で、日本のモグラに当てはまるかは分かっていません。

出典:Royal Society Open Science(2022年)

8. 哺乳類一の早食いモグラ

哺乳類一の早食いモグラのイラスト

北米の湿地にすむホシバナモグラは、鼻先に22本の触手が星の形に並んでいます。鼻全体には、触覚を感じる「アイマー器官」が約2万5000個もあるのです。

2005年の研究によると、エサを見分けて食べるまでは平均約0.23秒。最速では120ミリ秒でした。ギネス世界記録でも、哺乳類で最も速い早食いと認められています。

※「ミリ秒」は1000分の1秒のことで、120ミリ秒は0.12秒にあたります。

出典:Nature(2005年)/ギネス世界記録

分布の境目と人との関わり

日本のモグラは、すむ場所の分かれ方にも面白い特徴があります。最後は、分布の境目と、名前や遊びに残るモグラの話です。

9. 北海道にはモグラがいない

北海道にはモグラがいないのイラスト

津軽海峡には、動物の分布の境目「ブラキストン線」があります。北海道にいない動物として、モグラやヒミズ、ニホンザルなどが挙げられているのです。

北海道にいるトガリネズミの仲間は、モグラ科ではありません。海峡が深く、氷期にも陸続きにならなかったことが理由とされます。

※「ヒミズ」は、モグラ科の小さな動物です。
※「氷期(ひょうき)」は、地球が寒くなり氷河が広がった時期のことです。

出典:ブリタニカ国際大百科事典

10. 箱根山は東西の分かれ目

箱根山は東西の分かれ目のイラスト

本州には主に、西の大型のコウベモグラと、東のやや小さいアズマモグラがすんでいます。コウベモグラは西から広がり、アズマモグラを東へ押しやってきたと推測されています。

その広がりは箱根山で止まり、東の端は静岡県の函南。ただ箱根の外輪山の稜線にはアズマモグラがすみ、カルデラ内の仙石原にはコウベモグラが孤立しています。

西日本にもアズマモグラの「飛び地」があり、2021年には島根県隠岐の島後で2匹が捕まりました。

※「函南」は「かんなみ」、「仙石原」は「せんごくはら」、「島後」は「どうご」と読みます。※「外輪山(がいりんざん)」はカルデラを囲む山々、「稜線(りょうせん)」は山の尾根、「カルデラ」は火山の活動でできた大きなくぼ地のことです。

出典:神奈川県立生命の星・地球博物館(2008年)/北海道大学(2023年)

11. 「土竜」の字とミミズの関係

「土竜」の字とミミズの関係のイラスト

モグラは漢字で「土竜」と書きます。ところが中国・明の『本草綱目』では、「地龍」「土龍」はミミズの別名として載っているのです。

中国語でモグラは主に「鼹鼠」。日本で「土竜」を当てた理由ははっきりせず、ミミズを食べるからという説や、掘り跡が竜のようにくねるからという説があります。

※「本草綱目」は「ほんぞうこうもく」、「鼹鼠」は「えんそ」と読みます。
※「土竜」のように、漢字2字以上にまとめて読みを当てる書き方を「熟字訓(じゅくじくん)」といいます。

出典:日本国語大辞典

12. もぐらたたきは日本生まれ

もぐらたたきは日本生まれのイラスト

「もぐらたたき」の元祖とされるのは、東洋娯楽機が1975年に出したゲームセンター向けの「モグラ退治」です。その後、米国の遊園地業界の展示会で北米に初めて登場し、改良版の「Whac-A-Mole」が生まれました。

英語では1980年代から、問題を1つ片付けても次々に別の問題が出てくる状況のたとえとして使われています。

※「東洋娯楽機」は、TOGOの名で知られるゲーム機メーカーです。

出典:メリアム・ウェブスター

まとめ

モグラは日光に当たっても死なず、目は皮膚の下にあっても明るさを感じられるようです。「半日で餓死する」という話も、はっきりした根拠は見つかっていません。

生きたミミズの食料庫や冬に縮む頭の骨、前足の「6本目の指」など、地下の暮らしを支える工夫にも驚かされます。箱根山を境にした東西の分布や「土竜」の字、日本生まれの「もぐらたたき」からは、人とモグラの長い関わりも見えてきます。

庭や畑で盛り上がった土を見かけたら、その下で働くモグラの姿を想像してみてはいかがでしょうか。

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更新日:2026年10月15日(木) 07:50

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