日本のトイレットペーパーの3分の1以上が、静岡県のたった1つの市で作られていることをご存じでしょうか。毎日使う身近な紙なのに、その歴史やしくみは意外と知られていません。
国産第1号は家庭用ではなかったことや、水にほぐれる時間まで規格で決まっていることも、そのひとつです。
そんなトイレットペーパーにまつわる雑学を12個ご紹介します。研究や統計にもとづく項目には出典を添えています。
ロールが生まれた歴史の話
まずは、トイレットペーパーが今の形になるまでの歩みと、世間を騒がせた出来事から見ていきましょう。
1. お尻を拭く紙が商品になるまで

紙が商品になる前、人々は葉っぱや布、わらなど身近なものでお尻を拭いていたとされます。トイレ専用の紙を初めて売り出したのは、1857年のアメリカでした。
ただし平たい紙を束ねたもので、今のような巻いた形ではありません。ロール状が広まったのは、1890年にスコット社が売り出してからです。
2. 国産第1号は外国船のため

日本で初めてロール状のトイレットペーパーが作られたのは、1924年のことでした。ただし家庭向けではなく、外国航路の汽船に積むためのものです。
家庭ではその後も長く、ちり紙が使われていました。水洗トイレが広まったこともあり、生産量でロールがちり紙を追い抜いたのは1977年です。
※汽船…蒸気の力で動く船のことです。
※ちり紙…四角く切りそろえて重ねた薄い紙のことです。
3. 約300人が並んだ紙騒動

1973年、大阪の千里ニュータウンのスーパーに、トイレットペーパーを求めて約300人の行列ができました。オイルショックで物不足への不安が高まっていたころで、騒ぎはすぐに全国へ広がります。
2020年にも「中国製だから足りなくなる」というデマで、店頭から姿を消しましたが、実際にはほぼすべてが国産だったのです。
※オイルショック…原油の値上がりをきっかけに物の値段が急に上がった出来事です。
出典:経済産業省(2020年)
4. 1891年の特許図は前垂らし

紙の端を前に垂らすか後ろに垂らすかは、海外でもおなじみの論争です。1891年のアメリカの特許の図では、紙が前に垂れています。
1977年に新聞の人生相談で取り上げられると、1万5000通もの手紙が届いたそうです。調査では約7割が前垂らし派。後ろ垂らし派は、子どもや猫のいたずらを防げる点を挙げます。
紙のしくみと暮らしの備え
次は、紙の規格や原料、そして暮らしの備えにかかわる話です。
5. 100秒以内にほぐれる決まり

トイレットペーパーは、水の中で100秒以内にほぐれることがJISで決められています。流しても詰まりにくいのはこのためです。
一方、ティッシュペーパーは水にほぐれにくく、流すと詰まりの原因になります。神奈川県のテストでは「流せる」とうたうティッシュ類でも、7検体中5検体が100秒以内にほぐれませんでした。
※JIS…ジスと読み、製品の品質や大きさをそろえるための国の規格です。
出典:神奈川県(2019年)
6. 2倍巻きでも同じホルダーに

トイレットペーパーの大きさはJISで決まっていて、幅は114mm、芯の穴の直径は38mmです。巻いた太さも直径120mm以下とされています。
そのため、紙を長く巻いた2倍巻きでも、多くは同じホルダーに収まります。見た目では長さが分かりにくいので、パッケージのメートル表記を比べるとお得なものを選べます。
※規格から外れた輸入品などは、ホルダーに合わないこともあります。
出典:@DIME(2020年)
7. 牛乳パック30枚で5ロール

飲み終えた牛乳パック30枚から、トイレットペーパーが5ロール作れます。洗って開き、乾かしてから回収に出すと、再生紙の原料として生まれ変わるのです。
国内のトイレットペーパーは、原料の約半分から6割が古紙です。残りは、海外から輸入した木材パルプなどでまかなわれています。
※パルプ…木などの繊維をほぐして作る紙の原料です。
出典:EICネット/経済産業省(2020年)/経済産業研究所(2020年)
8. 備蓄は4人家族で約16ロール

経済産業省は、災害に備えて家庭で1か月分ほどのトイレットペーパーを備蓄するよう勧めています。使う量の目安は1人あたり週に1ロールほど。4人家族なら約16ロールになります。
備えが大切なのは、生産地が偏っているからでもあります。国内生産の約4割は静岡県で、2023年は富士市だけで約37%を占めました。
出典:経済産業省(2020年)/富士市(2023年)
世界と日本の使い方の違い
最後は、地域や国によって分かれる使い方やマナーをご紹介します。
9. 東はダブル派、西はシングル派

2020年に4000人を対象に行われた調査では、関東や東北、東海はダブル派が多数でした。反対に、近畿や四国、北海道ではシングル派が上回っています。
シングルは1ロールの長さがダブルの約2倍あり、交換の手間が少ないのが魅力です。肌ざわりか長持ちか、地域によって好みがはっきり分かれているのです。
出典:プラネット(2020年)
10. 紙を使わずに水で洗う国

世界には、トイレのあとに紙ではなく水で洗う地域が少なくありません。中東や東南アジアではハンドシャワーや水差しが使われ、イスラム教の作法も背景のひとつです。
フランスやイタリアでは、紙とビデを一緒に使う家庭が見られます。イタリアでは1975年の省令で、住宅の浴室にビデを置くことが義務になりました。
※ビデは、おしりなどを水で洗うための洋式の設備です。
11. アメリカ人は年141ロール

2018年の調査では、アメリカで1人が1年に使うトイレットペーパーは約141ロールでした。ドイツやイギリスも120ロールを超えています。
日本は1人が週に1ロールほどが目安なので、年に約50ロールの計算です。ただし国によって1ロールの長さが違うため、数字をそのまま比べることはできません。
出典:Statista(2018年)/経済産業省(2020年)
12. 三角折りは清潔とは限らない

ホテルなどの三角折りは、清掃が済んだ合図として使われることがあります。アメリカの消防士が始めたという説は、テレビ番組の検証で否定されました。
2017年には衛生用品メーカーの専門家が、用を足した手で折るとかえって汚れを広げるおそれがあると指摘しています。感染症が気になる時期は、折らなくてもよいでしょう。
まとめ
トイレットペーパーは1857年にアメリカで商品になり、日本では外国船のための国産品から歩みが始まりました。品不足の不安から、行列や買いだめの騒ぎが起きたこともあります。
水に100秒以内でほぐれることや、ホルダーに収まる大きさがJISで決まっているのも、毎日安心して使える理由のひとつです。生産は静岡県に集まっているので、家庭で1か月分ほど備えておくと心強いでしょう。
次にロールを交換するときは、垂らす向きや長さの表示にも少し目を向けてみてください。
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更新日:2026年10月11日(日) 11:16

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