シマウマの雑学12選!縞はアブが着地に失敗する模様

白と黒のくっきりした縞模様。動物園でおなじみですが、あの模様が何のためにあるのかは、長いあいだ答えが出ませんでした。

近年の研究が示したのは、縞が効いている相手が大型の捕食者ではなく、もっと小さな虫だということ。しかも遠ざけるのではなく、うまく着地させないしくみでした。

立ったまま眠る体のつくりや、家畜にならなかった理由など、話は模様だけにとどまりません。そんなシマウマにまつわる雑学を12個ご紹介します。研究にもとづく項目には出典を添えています。

白黒の縞模様をめぐる話

まずは縞模様そのものについて。どんなしくみで生まれ、何の役に立っているのかを見ていきます。

1. 毛の下の地肌は黒一色

毛の下の地肌は黒一色

シマウマの皮膚は、全体が黒っぽい色素を持っています。白と黒の縞をつくっているのは皮膚ではなく、その上に生えた毛の色。白い毛は、毛穴にある色素細胞がメラニンをつくるのをやめることで生まれます。

黒が基本の状態で、そこに白い縞が抑えとして入る、というのが今の見方です。

出典:カリフォルニア大学デービス校のTim Caro博士のコメント(Live Science・2022年)

2. 縞の向きは部位で変わる

縞の向きは部位で変わる

縞は全身が同じ向きに走っているわけではありません。胴の脇腹では縦向き、脚と尻では横向きに並んでいます。

研究論文でも、脇腹は垂直な体縞、尻は水平な縞として別々に数えられているほど。額を除けば、縞は体の輪郭に対しておおむね垂直に走ると指摘されています。

出典:Caroらの研究チーム(Nature Communications・2014年)

3. 縞は吸血バエ対策という説

縞は吸血バエ対策という説

縞模様の役割として、いま最も有力なのが吸血バエ対策という説。ウマにシマウマ柄の布をかけると、黒や白の布に比べてアブの着地が激減しました。

遠くから見て嫌がるわけではありません。ハエは無地の動物と同じように30センチ以内まで近づき、そこで減速しきれずにぶつかるか、通り過ぎてしまうのです。

※アブは家畜の血を吸い、病気を運ぶことがあるハエの仲間です

出典:カリフォルニア大学デービス校などの研究チーム(PLOS ONE・2019年)

4. かつての有力説は否定された

かつての有力説は否定された

縞の理由には、長く語られてきた説がほかにもあります。白黒の温度差で風が生まれるという体温調節説と、捕食者の目をくらます説。

けれど前者は、シマウマの皮をかぶせたドラム缶を4か月測っても温度差は出ず、後者もライオンの視力を再現すると、月のない夜は9メートルより先の縞を見分けられませんでした。

出典:エトヴェシュ・ロラーンド大学などの研究チーム(Scientific Reports・2018年)

5. 縞は指紋のように使える

縞は指紋のように使える

縞の並び方は1頭ずつ違い、同じ模様の個体はこれまで見つかっていません。研究者はこれを指紋のように使い、写真の縞をバーコードとして読み取るソフトで野生の個体を見分けます。

ただ、シマウマ自身が模様で仲間を識別している証拠はなく、縞がほとんど消えた個体も群れに受け入れられていました。

出典:プリンストン大学などの研究チーム(African Journal of Ecology・2018年)

サバンナを生き抜く力

縞から離れて、シマウマの体と行動に目を向けます。捕食者だらけの草原で生き延びるための備えが見えてきます。

6. 広い視野と自由に動く耳

広い視野と自由に動く耳

ウマの仲間は片方の目で約200度もの範囲を見渡せて、死角は真後ろのわずかな部分と頭の真下くらい。網膜には暗さに強い細胞が人の倍以上の比率で並び、薄暗い中の動きをよくとらえます。

ただし、細かい形を見分ける力は高くありません。耳も広く回せるうえ、夜は1頭が立って見張りにつきます。

出典:アイオワ州立大学エクステンション(ウマの視覚に関する解説)

7. 蹴りと噛みつきで反撃する

蹴りと噛みつきで反撃する

シマウマは逃げるだけの動物ではありません。1頭のオスと複数のメスからなる群れは、散らばらずに密集して踏みとどまり、オスが歯と蹄でライオンやハイエナに立ち向かいます。

動物園では、飼育員がけがを負わされる相手としてトラよりシマウマのほうが多い、という指摘もあるほどです。

出典:サンディエゴ動物園野生生物同盟 種ファクトシート(サバンナシマウマ)

8. 眠りの大半は立ったまま

眠りの大半は立ったまま

シマウマは立ったまま眠れます。脚の腱と靱帯が関節を固定するしくみがあり、筋肉の力をほとんど使わずに体を支えられるからです。

ただし、深く眠るレム睡眠だけは立ったままでは取れず、そのときだけ短く横になります。夜は最大7時間ほど眠り、日中も1日3回までの休息をとる暮らしぶり。

※レム睡眠は体が深く休み、夢を見るとされる浅い脳波の眠りです

出典:サンディエゴ動物園野生生物同盟 種ファクトシート(サバンナシマウマ)

9. 逃げ切る鍵は方向転換

逃げ切る鍵は方向転換

シマウマの最高時速は60〜70キロほど。ただし首輪センサーで追った研究では、加速でも減速でもライオンやハイエナのほうが上回っていました。

それでも逃げ切れるのは、全力で直線を走ったときではなく、あえて速度を落として鋭く向きを変えたとき。速く走るほど体は曲がりにくく、動きも読まれてしまいます。

出典:ロンドン大学王立獣医科大学などの研究チーム(Nature・2018年)

人との関わりと仲間たち

最後は、人がシマウマとどう向き合ってきたかと、シマウマの仲間たちの話です。

10. 家畜にならなかった理由

家畜にならなかった理由

19世紀末、イギリスのロスチャイルド卿はシマウマに馬車を引かせ、ロンドンの街を走らせました。ただし、これは1頭ずつ馴らした調教であって家畜化ではありません。

家畜化には餌や繁殖、群れの構造など複数の条件がそろう必要があり、噛みついたら放さない、年をとるほど危険になるといった点が壁になったとみられます。

出典:ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』第9章(1997年)

11. 絶滅したクアッガのDNA

絶滅したクアッガのDNA

かつて南アフリカに、首から前だけに縞があり後ろ半分は無地の茶色という、シマウマの仲間がいました。クアッガという名で、乱獲によって野生から姿を消し、最後の1頭は1883年にアムステルダムの動物園で死んでいます。

1984年、博物館の標本からそのDNAが読み取られ、絶滅動物では世界初のDNA解析となりました。

※のちにサバンナシマウマの亜種と確認され、南アフリカでは縞の薄い個体を交配して姿を復元する計画が続いています

出典:Higuchiらの研究チーム(Nature・1984年)

12. シマウマは全部で3種いる

シマウマは全部で3種いる

シマウマと呼ばれる動物は、サバンナシマウマ、グレビーシマウマ、ヤマシマウマの3種でなかでもグレビーシマウマは、現存するウマ科の野生種で最も大きく細かい縞と丸く大きな耳が目印です。

1970年代後半には約1万5000頭いましたが、いまはケニアとエチオピアに3000頭ほどでソマリアではすでに絶滅しました。

出典:グレビーシマウマ・トラスト/IUCN種の保存委員会ウマ科専門家グループ

まとめ

シマウマの地肌は黒く、白い縞は毛の色によって生まれます。その縞がいちばん効いている相手は、大型の捕食者ではなく血を吸うアブでした。遠ざけるのではなく着地をさせないという働き方です。

かつて有力だった体温調節説やカモフラージュ説は、実験によって支持されなくなりました。逃げ切る力の正体が速さではなく方向転換だったり、眠りの大半を立ったまま済ませていたりと、体のつくりも草原向きに整っています。

あの模様ひとつをめぐって、これだけ長い検証が重ねられてきたのだと感じます。動物園でシマウマを見かけたら、胴と脚で縞の向きが違うところを探してみてください。

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更新日:2026年10月5日(月) 03:30

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