健康習慣の雑学12選!1日1万歩は歩数計から広まった

毎日歩く、水を飲む、食べすぎないようにする。どれも昔から体にいいとされてきた、おなじみの健康習慣です。

ところが「1日1万歩」や「水はコップ8杯」といった目安の多くは、研究から決まった数字ではありません。歩数計の商品名や、70年以上前の勧告の読み違いから広まったとされるものもあるのです。

そんな健康習慣にまつわる雑学を12個ご紹介します。研究にもとづく項目には出典を添えています。

数字に隠れた習慣の起源

毎日なにげなく続けている習慣にも、数字や手本の出どころがあります。まずは、よく知られた目安の意外な起源から見ていきましょう。

1. 1万歩の目標は歩数計から

1万歩の目標は歩数計から

「1日1万歩」の目標は、1965年(昭和40年)に発売された歩数計「万歩メーター」とともに広まりました。歩幅70cmなら約7kmで、このくらいは歩いてほしいという医師らの呼びかけから生まれた数字です。

ただ、1万歩は研究から導かれた数字ではありません。平均72歳の女性16,741人の研究では、1日約2700歩の人より4400歩ほどの人は死亡リスクが41%低く、7500歩あたりで頭打ちでした。

※「万歩メーター」は山佐時計計器の商品で、「万歩計」は同社の登録商標です

出典:ハーバード大学などの研究チーム(JAMA Internal Medicine・2019年)

2. 1日8杯の水は読み落とし説

1日8杯の水は読み落とし説

1945年、米国食品栄養委員会は1日約2.5Lの水が必要だと勧告しました。ところが「その大部分は食べ物に含まれる」という続きが見落とされたという説があります。

これが「水はコップ8杯」の起源ではと指摘したのは、ダートマス大学の生理学者です。健康な大人に8杯を勧める科学的根拠は見つからなかったと報告しています。

※暑い日や運動をしたときなど、多めの水分が必要な場面は別です

出典:ダートマス大学の生理学者(American Journal of Physiology・2002年)

3. 腹八分目の原文は八九分

腹八分目の原文は八九分

腹八分目の出典としてよく挙げられるのが、貝原益軒が1713年(正徳3年)、84歳で著した健康の指南書『養生訓』です。

ところが原文に書かれているのは「八九分にてやむべし」。珍しくおいしい料理を前にしても八、九分でやめなさい、満腹まで食べると後で災いがある、という教えで、「腹八分」という言葉そのものは出てきません。

※『養生訓』は「ようじょうくん」と読みます

4. ラジオ体操の手本はアメリカ

ラジオ体操の手本はアメリカ

ラジオ体操は1928年(昭和3年)、かんぽ生命の前身である逓信省簡易保険局が作りました。手本にしたのは、アメリカのメトロポリタン生命保険会社が1925年からラジオで流していた健康体操です。

放送は同じ年の11月1日、昭和天皇の即位の大礼を記念して始まりました。今のラジオ体操第1は、1951年(昭和26年)に生まれた3代目にあたります。

※逓信省は、郵便や通信を受け持っていた当時の役所です

出典:全国ラジオ体操連盟、かんぽ生命保険(ラジオ体操の歴史)

体内時計や呼吸と食べ方

体の中では、時計や呼吸がそれぞれの仕組みで動いています。朝の光や呼吸のペース、食べる順番にまつわる研究を紹介します。

5. 体内時計は24時間より長い

体内時計は24時間より長い

人の体内時計は、ぴったり24時間で回っているわけではありません。ハーバード大学などの研究では周期は平均24.18時間で、年齢による差もほぼありませんでした。

少しずつ遅れる時計を、私たちは毎日光で合わせ直しているのです。時計遺伝子の仕組みを解き明かした3人には、2017年のノーベル生理学・医学賞が贈られました。

※時計遺伝子は、体内時計のリズムを刻む遺伝子です。ノーベル賞の研究はショウジョウバエを使って行われました

出典:ハーバード大学などの研究チーム(Science・1999年)

6. 目にある体内時計のセンサー

目にある体内時計のセンサー

朝に太陽の光を浴びると体内時計が整うのは、目が光を受け止めているからです。ただ、その役目を担うのは物を見るための細胞だけではありません。

2002年、網膜の中に、光を感じて体内時計へ直接知らせる別の細胞があると報告されました。視力を失った人の一部でも、明るい光で眠気を誘うメラトニンの分泌が抑えられます。

※網膜は、目の奥で光を受け止める薄い膜です

出典:ブラウン大学の研究チーム(Science・2002年)、ハーバード大学などの研究チーム(New England Journal of Medicine・1995年)

7. 祈りの呼吸は1分に6回

祈りの呼吸は1分に6回

イタリアの研究チームは、健康な大人23人にロザリオの祈りとヨガのマントラを唱えてもらいました。すると、どちらも呼吸が自然に1分あたり約6回まで、ゆっくりになったのです。

このとき心拍と血圧の揺れのリズムがそろい、血圧を整える反射の働きも高まったと報告されました。

※ロザリオはカトリックで祈りの回数を数える数珠、マントラはヨガで唱える短い言葉です

出典:パヴィア大学などの研究チーム(BMJ・2001年)

8. 野菜から食べる研究は日本発

野菜から食べる研究は日本発

野菜から先に食べる「ベジファースト」は、日本の研究者が長く調べてきた食べ方です。大阪府立大学の今井佐恵子さんと医師の梶山静夫さんらが、糖尿病の患者などで確かめました。

野菜を先に食べると食後の血糖値とインスリンの上昇が20〜30%抑えられ、順番を指導した患者では血糖の状態が2年半良いまま保たれたといいます。

※インスリンは、血糖値を下げる働きをするホルモンです

出典:大阪府立大学などの研究チーム(野菜情報・2013年)

研究で分かった意外な結果

最後は、実験や調査から分かった少し意外な結果です。広く信じられてきた話が、追試で覆った例もあります。

9. 車掌は運転手より心臓病が少ない

車掌は運転手より心臓病が少ない

1953年、イギリスの疫学者ジェリー・モリスらは、ロンドンのバスなどで働く男性約31,000人を調べました。座りっぱなしの運転手と、2階建てバスの階段を上り下りする車掌の比較です。

冠動脈の病気の発症は、運転手が1000人あたり年2.7人、車掌は1.9人でした。運動と健康の関係を探る研究の出発点とされています。

※冠動脈は、心臓の筋肉に血液を送る血管です

出典:イギリス医学研究評議会の研究チーム(Lancet・1953年)

10. 歩くと発想が6割増す

歩くと発想が6割増す

スタンフォード大学の研究チームは、176人に物の新しい使い道を考えてもらいました。歩きながらだと、座っているときより独創的なアイデアが平均60%多く出ています。

白い壁に向かってルームランナーで歩いても効果があり、座り直した後も続きました。ただ、答えが1つに決まる問題の成績は少し下がったそうです。

出典:スタンフォード大学の研究チーム(Journal of Experimental Psychology・2014年)

11. 散らかった机は独創的

散らかった机は独創的

ミネソタ大学の研究チームは、整った部屋と散らかった部屋で参加者の行動を比べました。整った部屋の人は寄付を多くし、お菓子よりリンゴを選ぶ傾向がありました。

一方、ピンポン玉の新しい使い道を考える課題では、出たアイデアの数は同じ。それでも散らかった部屋の人の案のほうが、第三者から独創的だと評価されました。

出典:ミネソタ大学の研究チーム(Psychological Science・2013年)

12. パワーポーズは本人が否定

パワーポーズは本人が否定

腰に手を当てて胸を張る「パワーポーズ」でホルモンが変わり、強気になれる。2010年に発表されたこの研究は、講演動画を通じて世界中に広まりました。

ところが2015年の大規模な追試ではホルモンの変化は再現されず、翌年には筆頭著者自身が、効果は実在しないと考えると表明しています。背筋を伸ばして座ると気分が上向いた、という別の研究もあります。

出典:チューリッヒ大学などの研究チーム(Psychological Science・2015年)、オークランド大学の研究チーム(Health Psychology・2015年)

まとめ

「1日1万歩」は歩数計とともに広まった目安で、研究では4400歩ほどから死亡リスクの低下が見られました。「水はコップ8杯」にも、古い勧告の読み落としから生まれたという説があります。

体の中では、24時間より少し長い体内時計を、目にある専用の細胞が朝の光で毎日合わせ直しています。一方で、世界中に広まったパワーポーズのホルモン効果は、追試で再現されませんでした。

当たり前に思える習慣も、出どころや研究をたどると見え方が変わってきます。

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更新日:2026年9月22日(火) 03:32

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