カメレオンが色を変えるのは、周りに溶け込んで隠れるためだと思っていませんか。実は、仲間へのサインとしても色を使っていることが、研究で分かってきました。
色が変わるしくみや、重力の264倍の勢いで飛び出す舌、一生のうち卵の期間のほうが長い種など、カメレオンには意外な一面がたくさんあります。
そんなカメレオンにまつわる雑学を12個ご紹介します。研究にもとづく項目には出典を添えています。
色と光にまつわるしくみ
カメレオンといえば、なんといっても色の変化です。まずは、色が変わるしくみと、その色が何のために使われているのかを見ていきます。
1. 色が変わるのは結晶のしわざ

パンサーカメレオンのオスの色の変化は、色素だけでなく、皮膚の細胞に並ぶグアニンの小さな結晶によるものです。興奮すると結晶の間隔が約30%広がり、反射する光が青から黄や赤寄りに変わります。
ふだんの緑は、結晶が反射する青と上の層の黄色い色素が重なった色。種によっては、寒い朝に体を黒くして熱を吸います。
※「グアニン」は、DNAの材料にもなる物質です。
出典:Nature Communications(2015年)
2. 派手な色は仲間へのサイン

カメレオンの変色は、隠れるためだけではありません。南アフリカの小型種21種を比べると、色を大きく変える種ほど目立つ色で仲間に合図しており、変色の幅は背景の色の多さでは説明できませんでした。
エボシカメレオンのオス同士は、頭の明るさと色の変わる速さで勝敗が読め、多くは組み合う前に色の見せ合いで決着します。
出典:PLoS Biology(2008年)/Biology Letters(2013年)
3. 紫外線を当てると頭が光る

カメレオンの中には、紫外線を当てると頭に青い点が浮かび上がる種がいます。正体は頭の骨の小さなでっぱりで、薄い皮膚越しに光って見えるのです。
カルンマ属31種160標本を調べた研究では、ほぼすべてが光り、オスのほうがでっぱりの数が多い傾向でした。仲間を見分ける合図ではないかとみられています。
※「カルンマ属」は、マダガスカルにすむカメレオンのグループです。
出典:Scientific Reports(2018年)
獲物をとらえる舌と目の力
じっと枝に止まっているように見えるカメレオンですが、狩りの瞬間は驚くほどすばやく動きます。ここでは、獲物をとらえる舌と目のしくみを紹介します。
4. 舌の勢いは重力の264倍

カメレオンの舌は、とてつもない勢いで飛び出します。20種を調べた研究で最も鋭い加速を見せたのは、体長47mmの小型種でした。その加速度は重力の264倍に達し、舌は体長の2.5倍まで伸びています。
車にたとえるなら、止まった状態から100分の1秒で時速約97kmに達する勢いです。ただし舌の実際の最高速度は秒速5.41mで、時速にすると約19km。小さい種ほど、加速度や出力、伸ばせる距離が大きい傾向もありました。
※重力の264倍の加速度は「264G」と表されます。
※体長47mmの小型種の学名は、Rhampholeon spinosusです。
出典:Scientific Reports(2016年)
5. 舌先のねばりは唾液の約400倍

カメレオンの舌先の粘液は、ヒトの唾液の約400倍もねばねばしています。獲物をとらえているのは、吸盤のような吸いつきではなく、この粘液のねばりです。
2016年の研究では、このねばりのおかげで、体重の約30%にもなる重い獲物まで捕らえられると計算されました。
出典:Nature Physics(2016年)
6. 左右の目はばらばらに動く

カメレオンの左右の目は別々に動き、首を動かさなくても周りをほぼ360度見渡せます。
2025年に公開されたフロリダ大学などの研究では、調べた3種すべてのカメレオンで視神経がほかのトカゲより長く、電話のコードのようにらせん状に巻いていました。目を大きく動かしても神経が突っ張らないためと考えられています。
出典:Scientific Reports(2025年)
体のつくりと暮らしぶり
枝の上で暮らすカメレオンには、足や尾、水の飲み方にも独特の工夫があります。驚くほど小さな仲間も見つかっています。
7. 枝をつかむミトンのような足

カメレオンの足の指は、2本と3本の束に分かれています。この2つの束がミトンのように向かい合い、枝をしっかりはさむのです。
多くの種では尾も枝に巻きつき、5本目の手足のように使われます。ただし、ブルケシアの仲間などは尾が短く、枝に巻きつけることができません。
出典:ブリタニカ百科事典
8. 世界最小かもしれない爬虫類

2021年に新種として発表されたブルケシア・ナナは、マダガスカルで見つかった小さなカメレオンです。オスの胴体はわずか13.5mmで、尾を含めても全長21.6mmしかありません。
世界最小の爬虫類の可能性もありますが、これまでに見つかっているのはオスとメスの1匹ずつだけです。
出典:Scientific Reports(2021年)
9. ためた水を水と気づかない

多くのカメレオンは、器にためた水を飲み水と認識しないとされています。野生では、葉についた雨や露の水滴をなめて水をとっているからです。
そのため飼育では、霧吹きやミスト、点滴式の給水器で水を与えるのが一般的。パリ動物園でも点滴式か霧吹きを使い、葉の露を集めさせています。慣れて器から飲む個体もいます。
※「点滴式」は、水を1滴ずつ垂らす給水器で、ドリッパーとも呼ばれます。
出典:フランス国立自然史博物館・パリ動物園/RSPCA
生まれ方と一生、名前の話
最後は、カメレオンの生まれ方や一生の長さ、そして名前にまつわる話です。種によって、子の産み方や寿命は大きく違います。
10. おなかの中で卵をかえす種

ジャクソンカメレオンなど一部の種は、卵を産まずに子どもを産みます。殻のない卵をおなかの中でかえし、1回に十数匹から数十匹の子を産むのです。
東アフリカ生まれのジャクソンカメレオンは、1970年代にペットとしてハワイへ持ち込まれました。今では主な島のすべてで野生化しています。
出典:ブリタニカ百科事典
11. 卵の期間のほうが長い一生

マダガスカルのラボードカメレオンは、陸にすむ4本足の動物で記録された中で最も短い寿命をもちます。乾燥した地域の集団では、雨季の始めに一斉にふ化し、4〜5か月で繁殖を終えると大人は全滅します。
卵は8〜9か月を土の中で過ごすため、一生のうち卵の期間のほうが長くなります。ただ雨季の長い地域では大人がもっと長く生き、次の繁殖期まで生き延びたメスもいました。
出典:PNAS(2008年)/Ecology and Evolution(2017年)
12. 名前の意味は地面のライオン

英語のchameleonは、「地面の上」を表すギリシャ語khamaiと「ライオン」を表すleonを合わせた言葉です。意味は「地面の上のライオン」ですが、なぜライオンにたとえたのかは諸説あります。
心理学では、周りに合わせて色を変えるイメージから名づけられた「カメレオン効果」も知られています。1999年の実験では、初対面の相手が顔をこすったり足を揺らしたりすると、参加者も無意識のうちに同じしぐさをすることが増えました。
出典:Online Etymology Dictionary/Journal of Personality and Social Psychology(1999年)
まとめ
カメレオンの色は、色素だけでなく皮膚の中の小さな結晶によって変わります。その色は隠れるためだけでなく、仲間へのサインにも使われているのです。
重力の264倍の勢いで飛び出す舌や獲物を離さない粘液、ばらばらに動く目など、狩りを支える体のつくりも独特です。乾燥した地域のラボードカメレオンのように、一生のうち卵の期間のほうが長い種まで存在します。
動物園などでカメレオンを見かけたら、体の色や目の動きに注目してみてはいかがでしょうか。
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更新日:2026年11月5日(木) 03:36

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