セミの雑学12選!尿をジェット噴射する最小の動物

夏になると、どこからともなく降ってくるセミの声。

うるさいと感じることもあれば、鳴きやんだ夕方に少し寂しくなることもある、不思議な存在です。

土の中で長い時間を過ごし、地上に出てからは短い時間を全力で鳴いて過ごすという一生は、昔から多くの人の想像をかき立ててきました。

ところが寿命や地中で過ごす年数など、よく知られた話の中には事実と少し違うものもあります。

そんなセミにまつわる雑学を12個ご紹介します。

1. セミが尿をジェットで飛ばす

セミが尿をジェットで飛ばす

セミが吸うのは木の道管を流れる水で、糖分がほとんどなく栄養が薄いため、大量に吸い大量に出します。

2024年にジョージア工科大のチームが米科学アカデミー紀要に発表した研究では、尿をジェット状に噴射する動物として知られる中でセミが最小だとわかりました。

※同じくらいの大きさの虫は尿を一滴ずつ弾き飛ばすのが普通で、ジェット方式は大型の哺乳類に多く見られる出し方です。

2. 竹ぼうきで来た外来種

竹ぼうきで来た外来種

中国原産のタケオオツクツクは、2016年に埼玉県川口市で定着が確認された外来種で、竹の汁を吸うという日本のセミにない生態を持ちます。

侵入経路は中国から輸入された竹ぼうきの竹枝に産みつけられた卵と考えられ、2019年には実際に竹ぼうきから卵が見つかりました。

※2019年の時点では、埼玉県のほかに神奈川県と愛知県でも確認されています。

3. セミに寄生する白い蛾

セミに寄生する白い蛾

セミヤドリガという蛾の幼虫は、セミの腹部にとりついて体液を吸いながら育っていき、終齢になると白い綿毛のような藲にすっぽりと覆われます。

そのため夏の林では、白い塊をぶら下げたまま飛ぶセミが見つかることがあり、寄主のほとんどはヒグラシだと言われています。

※とりつかれたセミがそのまま死んでしまうことはなく、産卵する力も失われないとされています。

4. 寿命1週間はただの俗説

寿命1週間はただの俗説

セミの寿命は1週間とよく言われますが、これは捕まえて飼うとすぐ弱る経験から広まった説のようです。

岡山県立笠岡高校の生徒が2016年の夏にマーキング再捕獲法で調べたところ、アブラゼミで最長32日、ツクツクボウシで26日、クマゼミで15日の生存が確認されました。

※この調査は2019年に学会で発表され、報道でも取り上げられました。挙げた日数は生存が確認された記録であり、平均寿命を示すものではありません。

5. 蝉の声は72デシベル

蝉の声は72デシベル

環境省のサイトに載る全国環境研協議会の「騒音の目安」には蝉の声という項目があり、その値は72デシベルとされています。

同じ調査では地下鉄の車内が76、ガード下が74、幹線道路のそばが71から72、繁華街が71、図書館が43となっており、蝉の声は大きい部類に入ります。

※一般的な住宅地の環境基準は昼間55デシベル以下で、蝉の声はこれを大きく超えています。なお72デシベルは10分間の等価騒音レベルであり、瞬間の最大値ではありません。

6. 芭蕉の蝉をめぐる大論争

芭蕉の蝉をめぐる大論争

「閑さや岩にしみ入る蝉の声」の蝉が何ゼミかをめぐり、大正末から昭和初めにかけ文豪を巻き込む論争が起きました。

1926年に歌人の斎藤茂吉がアブラゼミ説を発表して小宮豊隆らが反論し、1927年には岩波書店の岩波茂雄が神田の料亭に文人を集め討論会も開いています。

※決め手になったのは、句が詠まれた旧暦5月27日が今の7月下旬にあたり、その時期の山形の立石寺ではアブラゼミがまだ鳴いていないという現地の事実で、ニイニイゼミ説で決着しました。

7. 抜け殻は漢方薬になる

抜け殻は漢方薬になる

セミの抜け殻は蝉退と呼ばれる生薬で、皮膚のかゆみを抑える目的などで用いられ、消風散という漢方の処方にも配合されています。

ただし生薬として使われるのはスジアカクマゼミなどの殻で、夏の公園で拾ったアブラゼミの抜け殻がそのまま薬になるわけではありません。

※蝉退は「センタイ」と読みます。

8. 南フランスの幸運の印

南フランスの幸運の印

南仏プロヴァンスではセミが幸運のシンボルとされ、陶製の壁飾りを玄関に飾る風習があります。

ただし古くからの民間伝承ではなく、1895年に陶芸家のルイ・シカールがオーバーニュで作ったものが始まりで、もとはマルセイユの製瓦会社が配るノベルティだったそうです。

9. 地中7年説も正確でない

地中7年説も正確でない

セミが地中で過ごす年数は種や個体によってまちまちで、ツクツクボウシで1年から2年、アブラゼミで3年から4年、クマゼミで4年から5年ほどと言われています。

ただしセミは飼育が難しいため、地中で何年を過ごしているのかは今も完全にはわかっていないとされています。

10. 13年ゼミと17年ゼミ

13年ゼミと17年ゼミ

アメリカには13年ごと、17年ごとに大発生する周期ゼミがいて、2024年には13年ゼミのブルードXIXと17年ゼミのブルードXIIIが同じ年に姿を現しました。

この2つのグループの組み合わせは221年に一度しか重ならず、前回は1803年、次にそろうのは2245年と計算されています。

※米メディアはこの出来事をcicada-geddonなどと呼びました。

11. 中国では高級食材扱い

中国では高級食材扱い

中国の河南省や山東省では、羽化直前のセミの幼虫を素揚げにして食べる習慣があり、近年は高級食材として扱われることもあります。

ただし昆虫はエビやカニと共通のアレルゲンを含み、交差反応を起こす可能性があるため、甲殻類アレルギーの人は注意が必要とされます。

※共通のアレルゲンはトロポミオシンというタンパク質です。

12. ヒグラシは明るさで鳴く

ヒグラシは明るさで鳴く

ヒグラシが鳴き始めるスイッチは時刻ではなく明るさで入り、おおよそ2から14ルクスという薄暗さが条件だと言われています。

そのため曇った日や林の中では昼でも鳴き、同じ夏のセミでもクマゼミは早朝から午前中、アブラゼミは昼から夕方に鳴くことが多いようです。

更新日:2026年8月3日(月) 12:02

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