日本の山にもすんでいる身近な大型動物ですが、クマの本当の暮らしぶりは意外と知られていません。
肉食に見える顔つきとは違う食事の中身、眠りとはまったく別のしくみである冬眠、力任せに見えて実はよく回る頭など、私たちが思い描くイメージと実際の姿がずれている場面はたくさんあります。近づけば危ない相手だからこそ、まずは正しく知っておきたいところです。
そんなクマにまつわる雑学を10個ご紹介します。
1. こわもてでも食事の9割は植物

鋭い牙から肉食のイメージが強いクマですが、ツキノワグマの糞を調べた研究では、食べ物の9割以上が木の実や草などの植物質だったと報告されています。
動物質として食べるのはアリやハチなどの昆虫が中心で、ヒグマがサケをとるのは知床など沿岸の一部だけです。
2. 冬眠は深い眠りとは違う

クマの冬眠は眠り込んだ状態ではなく、体温は33〜36℃ほどまでしか下がらないのに、代謝つまりエネルギーを使う働きだけが約75%も落ちるとされます。
刺激があれば起きられる一方、数か月も飲まず食わずで排尿も排便もせず、母グマは巣穴で出産と授乳まで済ませます。
3. 走って逃げるのは逆効果

クマは短い距離なら時速40〜50kmで走り、ヒグマでは最大で時速56kmほどとの推定もあり、人類最速のボルト選手の時速37km前後を上回ります。
走って距離を離すのは難しいうえ、背を向けて逃げる動きは追いかける本能を刺激するとも言われ、かえって危険につながります。
4. 数km先の匂いも嗅ぎ分ける

クマの嗅覚はイヌをしのぐとされ、俗に人間の2100倍などと言われますが、これは厳密な実験で確かめられた数値ではありません。
それでも数km先の食べ物の匂いを察知するとされ、容器に入れた食品もわずかな匂い漏れで見つけるため、人里へ降りる一因になっています。
5. 二本足で立つのは好奇心から

後ろ足で立ち上がる姿は威嚇と思われがちですが、実際は高い位置から周囲を見わたし、匂いも使って情報を集める好奇心のあらわれだとされます。
警戒しているときは、鼻を鳴らす、強く息を吹く、歯をカチカチ鳴らす、突進の真似をするといった別のサインが出ます。
6. 点の多い少ないを見分ける

タッチ画面に点の集まりを映す実験で、クロクマは大きさや面積という手がかりを消しても、多いほうと少ないほうを正しく選べたと報告されています。
数えるというより数量を見比べる力ですが、学習の速さはチンパンジーを上回ったとされ、力任せの印象とは違います。
7. 冬眠明けでも筋肉が落ちにくい

何か月も動かないのに、クマの筋肉は衰えにくく、尿素の窒素を再利用してタンパク質を作り直す仕組みがあるとされます。
冬眠中のクマの血清をヒトの筋細胞に加えると分解が抑えられた研究もあり、寝たきりや宇宙飛行の筋力低下を防ぐ応用が研究されています。
8. 9日間687kmを泳いだ記録

クマは泳ぎが得意で、ヒグマやツキノワグマも川や湖を泳いで渡り、ホッキョクグマでは9日間に687kmを休まず泳ぎ切った例が記録されています。
ただしこれは海氷が減って強いられた過酷な遊泳で、長く泳いだ母グマほど子グマを失う割合が高かったと報告されています。
9. 同じ腹の子でも父親は別々

知床のヒグマ837頭のDNAを調べた研究では、2頭以上の子を含む腹のうち14〜17%で、きょうだいの父親が別のオスだったと分かりました。
メスが発情期に複数のオスと交尾するために起こり、オスによる子殺しの危険を下げる働きがあるのではないかと考えられています。
10. 餌場を翌年まで覚えている

クマは食べ物が手に入った場所を長く覚えていて、翌年以降も同じ時期に同じ場所を訪れることが追跡調査から分かっています。
ただし、どれくらい記憶に頼って動くかは個体差が大きいことも示されており、果樹や生ゴミの味を覚えさせない工夫が大切だと言えそうです。
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更新日:2026年7月14日(火) 09:25

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