豚の雑学13選!警察に採用された探知イノシシがいる

豚と聞いて、どんな姿を思い浮かべるでしょうか。泥だらけで食いしん坊、という印象を持つ人は多いかもしれません。

けれども実際の豚は、イヌやイルカに並ぶとも言われる賢さを持ち、広い場所では休む場所とトイレを分けて暮らします。祖先は野生のイノシシで、人との付き合いは1万年近くになります。

海を泳いでくる豚もいれば、警察に採用されたイノシシもいました。そんな豚にまつわる雑学を13個ご紹介します。研究にもとづく項目には出典を添えています。

豚の体と能力のひみつ

まずは豚という動物そのものを見ていきます。体のつくりと行動を知ると、見え方が少し変わります。

1. 泥浴びは体を冷やすため

泥浴びは体を冷やすため

豚は体温調節に使える汗腺がほとんどなく、汗で体を冷やすことができません。そのため暑い日は、泥のなかに寝転がります。

泥を浴びると体温はおよそ2℃下がるとされています。泥の水分は水よりもゆっくり蒸発するので、涼しさが長持ちします。

乾いた泥が落ちるとき、ダニやシラミを一緒に落とす効果もあるとされています。

出典:ワーヘニンゲン大学などの研究チーム(Animal Welfare・2011年)

2. 鼻先の骨で土を掘り返す

鼻先の骨で土を掘り返す

豚やイノシシの鼻先には、吻鼻骨という平たい骨があります。成長するにつれて大きく硬くなり、これをスコップのように支えにして、硬い地面も掘り返します。

鼻先は嗅覚も触覚も鋭く、豚にとっては探索の中心になる器官です。掛け金や柵を鼻先で持ち上げて逃げ出す個体もいて、脱走の名人と呼ばれることもあるそうです。

※「吻鼻骨」は「ふんびこつ」と読みます。

3. ゲームを覚えるほどの賢さ

ゲームを覚えるほどの賢さ

豚の認知能力は高く、イヌやチンパンジー、イルカに匹敵するとも言われます。種どうしの知能を数値で比べた研究はありませんが、それだけ賢い動物だと考えられます。

ある研究では、4頭の豚がジョイスティックで画面上の的に当てる課題を学習しました。4頭とも偶然の水準である25%を上回り、アイボリーという個体は76%を記録しています。

豚は鼻先や口でジョイスティックを操作しました。

出典:パデュー大学などの研究チーム(Frontiers in Psychology・2021年)

4. 休む場所とトイレを分ける

休む場所とトイレを分ける

豚は不潔な動物だと思われがちですが、動き回れる十分な広さがあれば、体を休める場所と排泄する場所を分けて使います。

離乳したばかりの子豚24頭に専用のトイレを用意した研究では、排尿の96.4%、排糞の97.4%がそのトイレで行われました。

不潔だというイメージは、狭い環境に押し込められた結果だと考えられています。

出典:ハノーファー獣医大学などの研究チーム(Animals・2022年)

人と歩んだ長い道のり

豚と人の関わりは1万年近くにおよびます。戦場や食卓、さらには警察にまで、その足あとが残っています。

5. 祖先は野生のイノシシ

祖先は野生のイノシシ

豚の祖先は野生のイノシシです。一般にはイノシシの亜種として扱われ、交配して子孫を残すこともできます。ただし独立した種とする学会もあり、分類は一本化されていません。

家畜化は北メソポタミアで約9500年前、中国で約8000年前に、それぞれ独立して始まったとされています。

出典:総合研究大学院大学などの研究チーム(Journal of Archaeological Research・2019年)

6. 戦象が怖がった豚の悲鳴

戦象が怖がった豚の悲鳴

古代の戦場で最強の兵器とされた戦象は、豚の甲高い悲鳴を極端に怖がったと伝えられています。古代ローマの博物学者プリニウスや、ギリシャの著述家アイリアノスがそう書き残しています。

紀元前266年のメガラ包囲戦では、守備側が放った豚の声にマケドニア軍の戦象がパニックを起こし、味方の兵を踏みながら逃げたと伝わります。この一件のあと、アンティゴノス2世は象を豚と一緒に飼って慣れさせたといいます。

考古学的な裏づけはなく、古代の著述家の記述だけが残されています。

7. トリュフ探しの主役だった

トリュフ探しの主役だった

かつてトリュフ探しの主役は犬ではなく豚で、扱いやすい成熟した雌が使われました。

雌が反応するのはトリュフに雄豚の性フェロモンに似た成分があるからだと言われてきましたが、1990年の研究で否定されました。豚も犬も反応しているのは香りの成分ジメチルスルフィドでした。

やがて豚がトリュフを食べたり菌床を傷めたりすることが問題になり、イタリアでは1985年の法律で採取は訓練された犬と行うと定められました。

※ジメチルスルフィドは、トリュフの香りをつくる成分の一つです。

出典:フランスの研究チーム(Mycological Research・1990年)

8. 海を渡った528頭の豚

海を渡った528頭の豚

沖縄戦で県内の豚はほとんどが失われ、豚肉の食文化が途絶えかけました。

これを知ったハワイの沖縄系移民が1948年に募金活動を始め、550頭の豚を購入します。7人が付き添って船に乗り込み、3度の嵐と機雷をくぐりながら、27日かけて沖縄へ渡りました。

9月に到着したとき、生きていたのは528頭でした。豚は県内へ公平に配られ、3年で10万頭にまで増えます。今の沖縄の豚肉文化は、この豚たちの子孫が支えています。

出典:沖縄県公文書館

9. 警察に採用された探知イノシシ

警察に採用された探知イノシシ

ドイツのニーダーザクセン州に、麻薬探知の訓練を受けたルイーゼというイノシシがいました。家畜の豚ではなく野生のイノシシです。

生後3週で警察犬の指導官に引き取られ、訓練を受けます。ところが州の内務省は前例がないとして、警察施設への出入りを禁じます。

これは世論に押された州首相の判断で覆り、1985年に探知イノシシとして登録されます。翌1986年には、最初の探知イノシシとしてギネス世界記録に載りました。

世界の変わった豚たち

最後は世界各地の豚を紹介します。姿も暮らしぶりも、思い描く豚とはずいぶん違います。

10. 船まで泳いでくる豚たち

船まで泳いでくる豚たち

豚は短い足を動かして犬かきのように泳ぎ、足のつかない深さでも移動できます。

バハマのエグズーマ諸島にあるビッグメジャーケイ、通称ピッグビーチには豚たちが暮らしていて、観光船が近づくと海を泳いで寄ってきます。どうやって島に来たのかは分かっていません。

今は地元の人たちが世話をしていて、淡水の給水設備や獣医の巡回まで整えられています。2019年には50〜60頭ほどがいました。

11. 巻き毛をまとうマンガリッツァ

巻き毛をまとうマンガリッツァ

マンガリッツァは、羊のような巻き毛に覆われたハンガリーの豚です。

1990年前後には200頭を切るまで減り、絶滅寸前でした。2004年にはハンガリー国会が、守るべき在来家畜として国の宝と宣言しました。

現在は数万頭まで回復したとされます。ただし血統登録された繁殖用の雌は7000頭ほどで、数え方で差が大きくなります。

出典:ハンガリー農業生命科学大学などの研究チーム(Animals・2024年)

12. マイクロブタも大きく育つ

マイクロブタも大きく育つ

手のひらサイズのまま育つとうたわれるマイクロブタですが、成長すると中型犬ほど、あるいはそれ以上になります。

体重は12〜40kgほどが一般的で、イギリスでは100kgを大きく超えるまで育った事例も報告されています。小さいままに見せるために、餌を絞って売る例も問題になってきました。

豚の寿命は10〜15年と長く、日本でも大きくなってから飼育を放棄されるケースが相次いでいます。

13. 26階建ての養豚ビル

26階建ての養豚ビル

中国・湖北省の鄂州市には、26階建てのビル1棟がまるごと養豚場という施設があります。

飼育できるのは最大で65万頭、年間の出荷能力は120万頭とされています。餌は中央制御室のボタン操作で自動的に供給され、排泄物は発電に使われます。

建設費は40億元、日本円にしておよそ776億円と報じられました。

まとめ

豚には体温調節に使える汗腺がほとんどなく、泥に寝転がって体を冷やします。鼻先の吻鼻骨を支えにして硬い地面を掘り返し、ジョイスティックを使った課題まで覚えてしまう賢さも持っています。

人との関わりも長く、沖縄には海を渡ってきた528頭の子孫が、ドイツにはギネス世界記録に載った探知イノシシがいました。泥まみれの印象の裏側には、こうした能力と、1万年近い人との歴史が重なっています。

次に豚を見かけたときは、少し違って見えるかもしれません。

あわせて読みたい

更新日:2026年9月10日(木) 12:43

コメントを入力

TOP