カブトガニの雑学11選!血が青くて1リットル150万円

浜辺で見かける丸い甲羅と剣のような尾を持つカブトガニは、古くから生きた化石と呼ばれてきた海の生き物です。

名前は知っていても、その中身までは意外と知られていません。

じつはカニの仲間ではなく、クモやサソリに近い変わり者。

さらに体の中には青い血が流れていて、その血は世界中の医療や宇宙開発の現場を支えています。

知るほどに不思議が増えていくカブトガニ。そんなカブトガニにまつわる雑学を11個ご紹介します。

1. 酸素に触れると青くなる血

酸素に触れると青くなる血

カブトガニの血液には、酸素を運ぶ役割として銅を含むヘモシアニンという色素が使われていて、空気に触れるとその銅が反応して鮮やかな青色へと変わります。

酸素が抜けた状態ではほとんど無色に近く、体の中を流れている血がいつも真っ青というわけではありません。

※ヘモシアニン=銅を含む青い色素。人の血が赤いのは、鉄を含むヘモグロビンを使っているためです。

2. ブルーゴールドと呼ばれる血

ブルーゴールドと呼ばれる血

医療の検査に欠かせない材料であることから、その青い血はブルーゴールドと呼ばれ、1リットルあたり150万円から250万円ほどで取引されるとも言われてきました。

ただし試薬を作る企業はこの金額を大げさと否定しており、実際に取引される価格は公表されていません。

3. 注射薬の安全を守る検査役

注射薬の安全を守る検査役

注射薬や医療機器には、細菌が出す発熱物質エンドトキシンが混じっていないか調べる検査が法律で義務づけられていて、その主流がカブトガニの血液を使うLAL試験です。

新型コロナワクチンでも、原料としてではなく製造の過程で汚染がないか調べるために使われました。

※エンドトキシン=細菌の外側にあり、体内に入ると発熱などを起こす物質。
※LAL試験=カブトガニの血液成分が細菌の毒素に触れると固まる性質を使った検査法。

4. 宇宙開発の現場でも活躍

宇宙開発の現場でも活躍

宇宙開発を担うNASAも、探査機に微生物が付着していないかを確かめる清浄度の検査に、カブトガニの血液から作られた試薬を利用しています。

地球のはるか上空にある国際宇宙ステーションでも、船内で微生物が増えていないかを調べるために同じ仕組みが使われています。

5. 100万匹が集められる採血

100万匹が集められる採血

アメリカでは2024年だけで100万匹を超えるカブトガニが採血のために集められ、推定で18万匹以上が命を落としたと報告されています。

血液はおよそ3分の1が抜かれたあと生きたまま海へ戻されますが、その後の死亡率は研究によって5〜30%と幅がありはっきりしません。

※採集数と死亡数は、アメリカの大西洋岸海洋漁業委員会ASMFCがまとめた推計値です。

6. カニではなくクモの親戚

カニではなくクモの親戚

名前にカニと付いていますが、実際はカニやエビのような甲殻類の仲間ではなく、クモやサソリと同じ鋏角類というグループに含まれている生き物です。

見た目こそ大きく違うものの、体のつくりや育ち方をたどっていくと、サソリのほうがずっと近い親戚にあたるのです。

※鋏角類=きょうかくるい。口の前にはさみ状の器官を持つ動物のなかまで、クモやサソリ、ダニなどが含まれます。

7. 歩かないと餌を噛めない

歩かないと餌を噛めない

カブトガニには人のように物を噛む顎がなく、脚の付け根に生えたトゲ状の顎基という部分でゴカイや貝などの餌をすりつぶし、口へと少しずつ送り込んでいます。

この仕組みは脚を前後に動かすことではじめて働くため、歩いていない状態では食べ物を噛み砕けないのです。

※顎基=がくき。脚の付け根にあるトゲ状の部分で、餌をすりつぶす役割を持っています。

8. 目とされる器官がおよそ10個

目とされる器官がおよそ10個

数え方にもよりますが、カブトガニにはわずかな光を感じる器官が9個から10個ほどあり、甲羅の側面や背中、さらには口のそばにまで分かれて並んでいます。

しっぽのように見える尾の剣にある光受容体は、体内時計の調整に関わっていることが実験で確かめられました。

※光受容体=光を感じ取る細胞の仕組み。尾の剣は尾剣とも呼ばれます。

9. 恐竜より2億年も古い姿

恐竜より2億年も古い姿

これまでに見つかっている最も古い化石はおよそ4億4500万年前のオルドビス紀のもので、約2億3000万年前に現れた恐竜よりもさらに2億年ほど昔にさかのぼります。

その長い長い時間のあいだ、体のかたちは今とほとんど変わっておらず、生きた化石とも呼ばれてきました。

※オルドビス紀=まだ陸に大きな生き物がいなかった、海の生物が栄えた時代です。

10. 日本では貴重な天然記念物

日本では貴重な天然記念物

日本では1928年に岡山県笠岡市の繁殖地が国の天然記念物に指定されましたが、その後も埋め立てなどで数は減り続け、現在は絶滅危惧I類に位置づけられています。

笠岡市には世界で唯一とされるカブトガニ専門の博物館があり、建物も上から見るとカブトガニの形です。

※絶滅危惧I類=近い将来、野生で絶滅する危険性が高いとされる区分です。

11. 東南アジアの別種は毒持ち

東南アジアの別種は毒持ち

東南アジアの海にすむ別種のマングローブカブトガニは、フグと同じテトロドトキシンという毒を持つことがあり、タイでは1995年から2021年に189人が中毒し8人が亡くなりました。

日本のカブトガニはこの毒を持たず、天然記念物に指定されており食用にもされません。

※テトロドトキシン=フグなどが持つ強い毒。加熱しても分解されにくいことが知られています。

更新日:2026年8月15日(土) 09:53

コメントを入力

TOP