ベートーヴェンの雑学12選!浮浪者と疑われ留置された

「運命」の重々しい冒頭や、「第九」で歌われる歓喜の歌、ピアノの練習で一度は耳にする「エリーゼのために」。

ベートーヴェンの音楽は、作曲家の名前を知らない人にもすっかり届いています。

けれども本人の歩みをのぞくと、耳の不調に苦しんで書いた手紙や、引っ越しを繰り返した落ち着かない暮らし、後の世で作られた逸話など、意外な横顔がいくつも見えてきます。

そんなベートーヴェンにまつわる雑学を12個ご紹介します。

1. 遺髪が明かした父方の謎

2023年公表の研究では、8房の遺髪のうち本人由来とされた5房から、保存の良い1房の全ゲノムが読み取られました。

ベルギーに住む父方の子孫の男性のY染色体と一致せず、1572年ごろから1770年までの7世代のどこかで、記録に残らない父系の断絶があったとされています。

2. 鉛中毒説を支えた別人の髪

長く鉛中毒説の根拠とされてきたヒラーの遺髪は、2000年にアメリカの研究所で分析され、そこで出た高い鉛の値が説の柱になっていました。

ところが2023年に公表された解析では、この髪はベートーヴェン本人のものですらなく、女性の毛髪だったことが分かりました。

3. 弟へ宛てた渡されない手紙

1802年、進む難聴に苦しんだ末に、ウィーン郊外のハイリゲンシュタットで弟たちへ長い手紙を書きました。

絶望を書き連ねながら、最後は生きて音楽を続ける決意へと向かうその手紙は、結局渡されないまま手元に残り、1827年の死後に遺品の中から見つかっています。

※現物はハンブルク大学の図書館が所蔵しています。

4. 見えなかった客席の拍手

1824年5月7日、ウィーンのケルントナートーア劇場で交響曲第9番が初演され、指揮はミヒャエル・ウムラウフが執りました。

ベートーヴェンは脇でテンポを示す役で、聴衆の拍手に気づかずにいたところを歌手のカロリーネ・ウンガーが客席へ振り向かせたと伝えられます。

5. 暖房なしの4時間公演

1808年12月22日、アン・デア・ウィーン劇場の公演で交響曲第5番と第6番、合唱幻想曲が初演され、ピアノ協奏曲第4番も公開の場で演奏されました。

18時半から22時半までの約4時間、暖房が効かず客席は冷え切り、合唱幻想曲は演奏が乱れ、最初からやり直したと伝えられます。

※同席した作曲家ライヒャルトは、厳しい寒さの中で座り続けたと書き残しています。

6. 表紙に開いた怒りの穴

交響曲第3番「英雄」の筆写スコアの表紙には、ナポレオンへの献辞を力任せにこすり消した跡が残り、紙に穴が開いています。

楽譜を破り捨てた描写は弟子フェルディナント・リースの回想が出どころで、ベートーヴェン・ハウスは紙全体が破られたことはないとしています。

7. 扉を叩く運命という解釈

交響曲第5番の冒頭を運命が扉を叩く音とした話の出どころは、秘書アントン・シンドラーの1840年の伝記です。

シンドラーは本人の死後、会話帳に約150か所の偽の書き込みを加えたことが1970年代の研究で判明しており、この証言をそのまま信じるのは難しいとされます。

8. コーヒー豆を数える朝

一杯につきコーヒー豆をきっかり60粒数えて淹れたという話は有名ですが、この60粒という数字を伝えているのは同じ伝記だけで、ほかに裏づけとなる記録は見つかっていません。

自分でガラスの器具を使ってコーヒーを淹れていたこと自体は、複数の同時代の証言があります。

9. 落ち着かない住まい探し

ウィーンで暮らした約35年の間に住まいを変えた回数は、60回以上とも言われ、家主とのもめごともよく語られてきました。

同時に複数の部屋を借りていた時期もあったようで、1810年の知人の手紙には、田舎と市内などいくつかの住まいを行き来していると書かれています。

10. 散歩中に浮浪者と疑われる

1821年ごろ、ウィーン近郊の町で帽子もかぶらず、みすぼらしい姿で歩いていたところを浮浪者と疑われ、警察に留め置かれました。

名乗っても信じてもらえず、真夜中に呼ばれた音楽監督ヘルツォークが本人だと確かめ、翌日は市長が詫びて送り届けたと伝えられます。

11. 逆さの譜面で挑んだ対決

1800年、人気ピアニストのダニエル・シュタイベルトが腕比べを挑みました。

ベートーヴェンは相手が残した五重奏曲の譜面を逆さまに載せ、冒頭の音をもとに長く即興を弾いたと伝えられ、シュタイベルトは終わる前に部屋を出て、その後ウィーンへ戻りませんでした。

12. 作曲者の死後に現れた名曲

エリーゼのためには1810年ごろの作品とされますが生前は出版されず、死後40年の1867年に研究者ノールが所蔵者のもとで自筆譜を見つけて出版しました。

その自筆譜は今も行方が分からず、エリーゼが誰かも不明で、テレーゼの読み違えではないかという説もあります。

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