サイの雑学13選!シロサイが白くない理由は今も謎
アフリカやアジアの草原にすむ、大きな角でおなじみのサイ。
ゾウに次ぐ巨体でありながら見た目よりずっと身軽で、目が悪いという有名な評判にも研究上の裏づけがないことが分かってきました。
角の中身や名前の由来、背中に乗る鳥との関係など、調べてみると教科書ではあまり語られない一面がいくつも見つかります。
かつては20トンを超える仲間が地上を歩いていた、という話もあります。
そんなサイにまつわる雑学を13個ご紹介します。
1. 角に骨は入っていない
サイの角には骨の芯がなく、ケラチンというタンパク質だけでできています。
角化した管状の構造が集まった皮膚由来の組織で、ウマのひづめやカメのくちばしに近い作りをしており、鼻の骨の上の隆起にコラーゲンで固定されているため、頭骨だけの標本には角が残りません。
※ケラチンは髪や爪をつくるのと同じタンパク質です。
2. 切っても角はまた伸びる
生え際の胚芽層を残して角の9割ほどを切り取れば、年に4cmから7cmほどのペースでまた伸びていきます。
2025年に発表された研究では、南アフリカの11の保護区を7年間にわたり調べたところ、角を切ったサイの被害率は0.6%にとどまり、密猟が78%減ったと報告されました。
※「胚芽層(はいがそう)」は角のもとになる細胞が集まった部分です。
3. シロサイが白くない謎
シロサイの体色は灰色で、名前に反してクロサイとほとんど見分けがつきません。
口先が幅広いという意味の現地の言葉をwhiteと聞き違えたという語源説が有名ですが、その言葉がオランダ語でサイを指した記録も見つかっておらず、本当の由来は今もなお分かっていません。
4. 目が悪いというのは誤解
サイは目が悪いとよく言われますが、この評判は研究では支持されていません。
2008年にクロサイの視力を測った研究では、条件がよければ200mほど先の人を見分けられると計算されており、ヒトの10分の1程度でもウサギ並みの水準で、アザラシよりも上だとされています。
5. 巨体に見えて足は速い
サイの体重は種類によって1トンから2.3トンほどあり、陸の動物では上位に入る重さです。
走る速さの実測データは少なく、シロサイの映像解析では時速22kmから27kmですが、広く知られている数字はクロサイが約55km、シロサイが約50kmで、1トン超の動物としては最速級です。
6. 牛ではなくウマの親戚
角とがっしりした体つきから牛の仲間だと思われがちですが、サイはひづめの数が奇数の奇蹄目に含まれています。
現生のなかでいちばん近い親戚はバクで、次いでウマやシマウマ、サイとバクが分かれたのは約4700万年前とされ、姿の似たカバは偶蹄目でむしろ遠い間柄です。
※「奇蹄目(きているもく)」はひづめの数が奇数のグループ、「偶蹄目(ぐうていもく)」は偶数のグループです。
7. 分厚い皮膚でも日焼けする
サイの皮膚は厚いところで5cmほどありますが、血管が表面近くを走っているため、日焼けや虫刺されには弱く、傷つきやすい部分があります。
そこで泥や砂を浴びて全身を覆い、日焼け止めと虫よけ、そして体を冷やす役割をまとめて果たしていると考えられています。
8. 体重を支えるのは中指
サイの足の指は前足も後ろ足も3本ずつあり、真ん中の指がいちばん大きく体を支えるときの中心になっています。
かかと側には厚い脂肪のクッションがそなわっていてそこにも体重が乗るしくみで、地面に残る足跡はクローバーやトランプのクラブによく似た形になります。
9. 牙を武器にするサイたち
前歯にあたる切歯をまったく持たないのは、アフリカにすむシロサイとクロサイの2種だけです。
アジアの3種は歯がよく発達しており、インドサイは下顎の牙のような歯を武器に、角ではなく牙で相手を切り裂いて戦い、スマトラサイも上顎の切歯と下顎の犬歯があります。
※「切歯(せっし)」は前歯にあたる歯、「犬歯(けんし)」はその隣にある尖った歯です。
10. 汗をかいて涼めない体
2017年にシロサイの皮膚を調べた研究では、汗腺はまばらにしか存在しないと報告されています。
まったくないわけではないものの、汗をかいて体温を下げるにはとても足りず、日陰や水浴び、泥浴びに頼っているため、水場があるかどうかが暮らしぶりを大きく左右します。
11. 背中の鳥が危険を知らせる
クロサイの背中に乗るウシツツキという鳥は、人の接近をいち早く知らせてくれる見張り役を務めています。
2020年の研究では、鳥を乗せたサイが人に気づく割合は23%から100%へ、気づく距離も27mから61mへと伸び、鳥が1羽増えるごとに約9m延びたと報告されました。
※スワヒリ語でウシツツキは「サイの護衛兵」という意味の名で呼ばれています。
12. 糞の山がサイの掲示板
シロサイは仲間と共同で使う大きな排泄場を作り、糞の匂いから相手の性別や年齢、縄張りを持っているか、メスが発情しているか、どれくらい前に立ち寄ったかまで読み取ります。
縄張りを持つオスは中央に、それ以外は縁の側に落とし、成獣は1日に23kgほどの糞をします。
※共同で使うこの排泄場は、英語でミドゥンと呼ばれています。
13. 史上最大の陸の哺乳類
サイの仲間であるパラケラテリウムは、肩までの高さが約5m、体重は20トンから24トンほどもあったと推定されています。
最大7トンほどのアフリカゾウの3倍以上にあたる重さで、角がなく首の長い姿で約2650万年前に暮らしていて、2021年には中国で新種が記載されました。
※「パラケラテリウム」は絶滅した、角のない首の長い大型のサイの仲間です。