オオサンショウウオの雑学12選!天然記念物が昔はごちそう

川底の石の下で、ほとんど動かずにじっと身をひそめる巨大な生き物がいます。

世界最大級の両生類として知られるオオサンショウウオは、日本の清らかな流れにすむ特別天然記念物です。

ぬめっとした地味な見た目からは想像しにくいですが、その暮らしぶりや人との関わりの歴史をのぞいてみると、驚きの生態や意外なエピソードがぎっしり詰まっています。

そんなオオサンショウウオにまつわる雑学を12個ご紹介します。

1. 種そのものを守る特別天然記念物

オオサンショウウオは1951年に天然記念物、翌1952年には特別天然記念物へと指定されました。

特定の場所ではなく種そのものが守られているため、日本国内のどこで見つけても勝手には捕まえられません。環境省のレッドリストでも、絶滅危惧II類とされています。

2. 別名ハンザキの気になる由来

オオサンショウウオには「ハンザキ」という古くから親しまれてきた別名があります。

体を半分に裂いても生きているからという説と、大きな口が体を半分に裂けたように見えるからという説があり、そのどちらも有力な諸説のひとつとして、今も語り継がれています。

3. 目より振動を頼る狩りの達人

オオサンショウウオの視力はほぼ明暗が分かる程度しかなく、水の振動と嗅覚で獲物のいる位置を察知して、大きな口で一気に吸い込みます。

歯がないように見えて、実は1ミリほどの細かい歯がびっしりと生えており、一度噛みついた獲物は離さないといわれています。

4. 週に魚一匹で足りる省エネ体質

オオサンショウウオは代謝がとても遅く、週に魚を一匹ほど食べれば生きていけるといわれ、数週間ほど何も食べなくても平気なほどです。

成体になるとエラが消え、呼吸の多くを皮膚呼吸に頼るようになりますが、肺呼吸もあわせて行い、体を上手に使っています。

5. ギネスも認めた両生類の長寿

飼育下での長寿記録は51年から52年ほどにもおよびます。シーボルトが持ち帰った個体は捕獲から数えて55年ほど生きたと伝わり、最も長生きした両生類としてギネスに認定されました。

ゆっくりと静かに暮らすその生き方が、長寿につながっているのかもしれません。

6. シーボルトが運んだ一匹の話

江戸時代に来日したシーボルトは、2匹を生きたまま持ち帰ろうとしましたが、航海の途中でメスがオスに食べられてしまい、オス1匹だけが無事にオランダに到着したと伝えられています。

当時のヨーロッパでは、その珍しい生きた姿がたいへんな人気を集めたそうです。

7. 卵を見守るオス「ヌシ」の子育て

オオサンショウウオの繁殖では、巣穴を守るオス「ヌシ」が主役になります。闘争に負けたオスが混乱に乗じてこっそり放精する興味深い行動も知られ、ヌシは卵から幼生になるまでおよそ半年間も見守り続けるという、意外なほど子煩悩な一面を持っているのです。

8. 京都・鴨川で進む交雑の問題

京都の中心を流れる鴨川では、食用として輸入された中国産の種が放流された影響で、在来種との交雑が進んでいます。

2021年の調査では交雑した個体が全体の約9割を占め、純粋な在来種はごくわずかしか残っていないと推定され、外来種問題の深刻さを物語っています。

9. 水族館で見つかった幻の絶滅種

中国ではすでに野生から絶滅したと考えられていた種が、2024年になって東京と広島の水族館や動物園で、それぞれ1匹ずつ飼われていたと判明しました。

外来種問題を調べる過程で絶滅種が見つかるという、思いがけない展開が多くの研究者を大いに驚かせたそうです。

10. 昔は貴重なごちそうだった

オオサンショウウオは昔、貴重なタンパク源として食べられており、1643年ごろに書かれた料理書にも登場します。

北大路魯山人は、スッポンの臭みを抜いたようで美味だと評しました。1952年の特別天然記念物への指定以降は、捕獲も食用もかたく禁じられています。

11. 岡山に残るはんざき大明神の伝説

岡山県真庭市には「はんざき大明神」を祀る神社があります。

人や牛馬を襲う体長10メートル級の大ハンザキを、ある若者が見事に退治したものの、その後に一族が絶えてしまい、その祟りを鎮めるために祀ったのだという言い伝えが、今も静かに残されています。

12. 井伏鱒二が削った名高い結末

井伏鱒二の短編小説「山椒魚」は、作者が半世紀以上もの長きにわたって改稿を続けた執念の作品として知られています。

1985年に刊行された自選全集では、名高い結末の十数行がまるごと削除され、それがそのまま最終版となったことでも、大きな話題を呼びました。

コメントを入力