競艇の雑学12選!41億円が返された日

エンジン音を響かせて6艇が旋回する競艇は、テレビで見ても水面で見ても迫力のある競技です。

ただ、その裏側には、体重を細かく決めた規定や、狭き門をくぐり抜けた人だけが立てる水面、そして時代とともに姿を変えてきたルールがあります。

しくみを知ってから眺めると、同じレースがずいぶん違って見えてくるはずです。

そんな競艇にまつわる雑学を12個ご紹介します。

公式発表にもとづく項目には出典を添えています。

選手たちの過酷な世界

まずは、水面に立つ選手たちの話から見ていきます。

体重の管理から養成所の生活まで、想像以上に厳しい世界が広がっています。

1. 男子の最低体重は52kg

競艇では選手の最低体重が決められていて、男子は52.0kg、女子は47.0kgとされています。

男子はもともと51.0kgでしたが、2020年11月1日以降を初日とする競走から52.0kgへ引き上げられました。

健康を守りながら身体能力を十分に発揮してもらい、事故を防ぐという狙いがあったとされています。

引き上げ当時の男子選手の平均体重は約54.0kgでした。

ボートは軽いほうが有利とされるため、選手は日ごろから体重管理に神経を使っています。

出典:BOAT RACE オフィシャルウェブサイト お知らせ(2020年)

2. 卒業できるのは半数だけ

選手になるには、福岡県柳川市にあるボートレーサー養成所へ入る必要があります。

募集ごとに応募は約1000人、合格は約50人ほどで、倍率はおよそ20倍とされています。

さらに入所しても卒業できるのは研修生の半数程度で、97期は35名中20名、106期は40名中22名でした。

研修期間は1年の全寮制です。

男子は丸刈り、女子も耳にかからないショートヘア、携帯電話の持ち込みは禁止、6時起床で22時消灯という生活が続きます。

3. 男女が同じ水面で走る

競艇の選手は全国に約1600人いて、そのうち約1割が女子選手です。

そして競艇では、男女が同じレースに出て一緒に走ります。

多くのスポーツで男女の種目が分かれていることを考えると、かなり変わった形といえます。

出走表に並ぶ6人の名前を見ると、男女が入りまじっているのが当たり前の光景です。

4. 73歳まで現役だった人

競艇には年齢による定年がないため、選手寿命が長いのも特徴です。

加藤峻二選手は1959年7月24日にデビューし、2015年5月7日に73歳で引退するまで、現役生活は56年に及びました。

しかも引退の2年ほど前、2013年3月25日には71歳2か月で優勝しています。

これが通算120回目の優勝でした。

孫ほど年の離れた若手と同じ水面で競い、70代で勝ち切ってしまうというのは、なかなか想像しにくい記録です。

レースのしくみとルール

ここからは、レースそのものの決まりごとに目を向けます。

使う道具からスタートの方法まで、他の競技とはずいぶん違った作りになっています。

5. モーターは抽選で決まる

競艇で使うモーターもボートも、選手の持ち物ではありません。

レース場が用意したものを使い、1つのレース場に約60機あるモーターのうちどれに当たるかは、節ごとの抽選で決まります。

ボートも同じように割り当てられます。

さらに各レース場では、1年ごとに全モーターを新品へ入れ替えています。

モーターは約400ccの2サイクル2気筒で、最高出力は31馬力です。

良い道具をそろえる力ではなく、引き当てた機材を乗りこなす腕が問われる仕組みといえます。

※「節(せつ)」は、同じ選手が続けて出場する数日間の開催のまとまりです

6. ハンマーで叩いた時代

2012年に廃止されるまで、プロペラだけは選手の私物でした。

持ちペラ制と呼ばれ、選手は自分のプロペラをハンマーで叩き、好みの形に調整していたのです。

レース場にあるペラ小屋にこもって、1日中叩き続ける選手もいたといわれます。

ただ、この作業は選手の負担が大きく、制度そのものが廃止されました。

今ではプロペラもモーターとセットで貸し出されています。

7. 助走をつけて突っ込む

競艇のスタートは、止まった状態から一斉に飛び出す方式ではありません。

あらかじめ助走をつけ、スタートラインへ突っ込んでいくフライングスタート方式が採られています。

目印になるのは大時計で、針が0秒から1秒を指す間にスタートラインを通過すればセーフです。

0秒より早く通過するとフライング、1秒を過ぎてしまうと出遅れになります。

1秒に満たないわずかな幅を目がけて、6艇が全速で入っていくわけです。

8. フライングは重い罰則

フライングをすると、斡旋停止という重い罰則が科されます。

1回目で30日間、悪質と判断された場合は35日間です。

2回目には60日が加算されて計90日、3回目にはさらに90日が加算されて計180日と、回を重ねるごとに長くなっていきます。

斡旋停止の間はレースに出られないため、その分の収入が途絶えることになります。

ほんのわずかな踏み込みすぎが、半年近い空白につながることもあるわけです。

※「斡旋(あっせん)」はレースへの出場を割り振ってもらうことです

9. 恵まれという決まり手

競艇の決まり手は、逃げ、差し、まくり、まくり差し、抜き、恵まれの6種類です。

このうち恵まれは少し変わっていて、先行していた艇が事故などでレースから離脱し、次を走っていた艇が繰り上がって1着になったときに使われます。

自分の走りで奪い取った勝ちではありませんし、狙って取れる勝ち方でもありません。

それでも正式な決まり手として名前がついているところに、この競技らしさがにじんでいます。

数字でたどる競艇の歩み

最後は、競艇が歩んできた道のりを数字から眺めてみます。

始まりの年から近年の売上まで、変化の大きさが見えてきます。

10. 始まりは長崎県の大村

競艇の第1回開催は1952年4月、長崎県の大村で行われました。

日付は4月6日とされています。

その前年、1951年6月18日にモーターボート競走法が公布され、地方自治体の財源を確保することなどを目的として始まった競技です。

大村には今も競艇発祥の地の碑が立っていて、ここから全国へ広がっていったことをうかがわせます。

11. 売上は2兆6658億円

2025年度、つまり2025年4月から2026年3月までの総売上は2兆6658億円で、前年度と比べて105.6%でした。

歴代最高を更新したとされています。

あわせて注目したいのが買われ方の変化で、ネット投票の比率は81.3%に達しました。

かつては舟券を買うためにレース場へ足を運ぶのが当たり前でしたが、今ではほとんどが自宅などからの投票ということになります。

出典:BOAT RACE オフィシャルウェブサイト 売上速報(2026年)

12. 41億円が返された日

フライングや出遅れ、事故でレースから外れた艇の舟券は、全額が購入者へ返還されます。

2021年12月19日、住之江で行われたグランプリ優勝戦では、1号艇がターンマークに接触して横転し、後続の3艇が乗り上げて計4艇が転覆しました。

このとき返還された金額は41億1426万3700円にのぼり、史上最高額とされています。

1年を締めくくる大舞台だったことが、金額の大きさにも表れています。

出典:THE PAGE報道(2021年)

まとめ

競艇は、モーターもボートも抽選で割り当てられ、男女が同じ水面で走る競技です。

最低体重の規定や、養成所の狭き門、フライングへの重い罰則からは、公平さと安全をどう保つかに気を配ってきた歩みが見えてきます。

その一方で、持ちペラ制の廃止やネット投票の広がりのように、時代に合わせて姿を変えてきた部分もあります。

道具の差をできるだけ減らし、腕と度胸で勝負を決める。

その一点を守るための工夫が、細かなルールの積み重ねになっているのかもしれません。

次にレースを目にする機会があれば、大時計の針の動きにも注目してみてください。

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